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事例紹介

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出版システム

柏書房株式会社
倉庫変更でシステム連携 スムーズに対応

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出版システム
柏書房株式会社
(文化通信 2025/1/28 掲載)

富澤凡子社長

左『コロナ禍と出会い直す』 右『密航のち洗濯 ときどき作家』

柏書房株式会社

創 立 1970年
代表者 富澤凡子
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷2-15-13
電 話 03-3830-1891(代表・営業)

柏書房は20年にわたって光和コンピューターのシステムを利用しているが、リプレイスや倉庫会社の変更などに対応。このほど再び倉庫会社を変更することになったが、データの取り込みなどシステム連携はスムーズに進んでいるという。

同社は1970年設立の書籍出版社で、人文・社会科学系単行本と高額な復刻史料など辞事典・資(史)料集などを刊行している。刊行点数は年間20~ 30点。稼働点数は単行本と資料集類など全体で約880点、このうち資料集類が約350点を占める。
販路は単行本が書店での店売中心なのに対して、資料集類は大学や公共図書館が中心で、書店の外商部経由での販売が多い。ただ、近年は資料集類に対して単行本の売上比率が上がっているという。
そんな中、昨年は同社が発行する磯野真穂著『コロナ禍と出会い直す』が第33 回山本七平賞、宋恵媛・望月優大文/田川基成写真『密航のち洗濯 ときどき作家』が第46 回講談社本田靖春ノンフィクション賞を相次いで受賞した。
両書とも2020 年に入社した若い編集者が手掛けており、富澤凡子社長は「弱き者、光が当たらなかったものをテーマにした本が柱になってきました。受賞によって今までと違った新しい読者層が育ってきていることを実感しています」と手応えを語る。

2018 年に「BI ツール」導入

システムは2004年から光和コンピューターの販売管理システムと印税支払管理システムを利用している。
2018年にはシステムをリプレイスしてデータ分析の「BIツール」などを導入。それまで1~ 2時間かけて帳票出力していた日次更新や重版資料なども「BIツール」によって瞬時に出せるようになった。
この時、担当した営業部・田村優樹課長代理は、学生時代のアルバイトから2016年に社員採用されて日が浅かったが、「当社の場合、単行本と高額な資料集では実績管理の仕方も違います。そのためカスタマイズを重ねながらシステムを利用していましたが、それまでの仕様に合わせ使いやすくしてもらえました。当時の私は素人同然でしたが、ていねいに対応してもらえたので助かりました」と振り返る。

大村紙業とシステム連携

在庫管理はトーハンの「出版QRセンター」を利用してきたが、2022年に倉庫会社の朋栄ロジスティックに委託。
さらに今年4月に朋栄ロジスティックが大村紙業と経営統合するため、こんどは大村紙業に在庫を移転することになった。
これに伴って、大村紙業とのデータ連携が必要になったが、こちらもスムーズに進んでいる。「納品データの受け取りなどは、シンプルにCSVデータを取り込む形にしました。QRセンターから朋栄ロジスティックに移るときもなるべくシンプルにしていたので、今回も対応が容易です。システム同士をつなぐなど作り込んでいたら、むしろ大変だったと思います」と田村課長代理。
在庫や受注データの確認は大村紙業が提供するWebシステム「OS-WEB」を利用し、提供される納品実績データを自社システムに取り込めば、自動的に取次請求できる。
大村紙業への在庫移転は1月から、年度末に動く高額資料集などから順次開始し、返品の移転を含め5 月連休明けまでに完了の見込み。これに向けて11 月からシステムのテスト運用を行っているが、「問題なく進んでいます。データレイアウトの変更なども対応が早く、光和コンピューターのシステムは改修がしやすいと感じます」と田村課長代理は述べる。
また、田村課長代理が長年同じシステムを利用しているメリットを感じる出来事があった。今年、棚卸で高額資料の在庫が1セット不足する事態が発生。価格が高いだけに影響は大きいが、システムで過去のデータを調べた結果、2セットを原本として登録し、そのうち1セットを出荷していたことが判明し、事なきを得た。
システム面での今後のテーマについて富澤社長は、「単行本の比率が上がっているので、システムで店売営業を支援することが課題です。システムをプラスの方向に利活用していくため、まだ改良の余地もあるとみています」と話している。