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事例紹介

Case

出版システム検定教科書出版

実教出版
統合システムで効率化、他部署の業務をシームレスに

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出版ERPシステム
(販売管理)
実業出版(文化通信BBB 2019/9/23 掲載)

実教出版株式会社

代表者 小田 良次
所在地 東京本社
〒102-83773
東京都千代田区五番町5番地
電 話 代表
03-3238-7700
主な事業内容 高等学校文部科学省検定・著作教科書、
教材類(問題集類/資料・参考書類/辞典類/入学/資格・検定/就職)などの出版、コンピュータソフトウェア/DVD類の発行、学生会館「市ヶ谷女子学生ハイツ」などの不動産経営

 教科書会社の実教出版は主に高校向けの教科書や副教材、各種検定試験対策書などを発行している。30年使い続けた販売管理システムを新システムに移行し、2017年から稼働が始まった。先んじて導入が進められていた生産管理部、経理課とのシステム連携を構築し、重複していた業務の一元化・効率化も行われている。各部署の業務担当者から、統合システムに求めた要件や実際の運用状況について聞いた。

高校用教科書など発行、生涯学習にも幅広く対応

 高等学校の教科書を中心に、大学・短大・専門学校用教科書や各種検定試験対策書などを発行する実教出版は1941年、実業教科書株式会社として実業教科書発行を主目的に、国の要請を受けて創業された。

教科書をはじめとする実業科目(農業・工業・商業)の教科書を独占発行し、教科書の検定制度が発足した1948年、高校用教科書全科目の発行開始。1950年から社名を現在の実教出版へ変更し現在に至っている。

創業時は専門教科が中心だったが、現在発行している高校用教科書は10教科に広がった。高校用出版物として、教科書136種187点、指導資料458点、副教材1,105点を発行しており、それらの書籍は、北海道から沖縄まで全国各地の高校で使われている。

また、一般書については、理工図書36点、情報図書27点、商経図書13点等、累計394点となる。これらの出版物は高校生から生涯学習まで多くの人々の教育に貢献している。

副教材の内容と価格、どちらも使う側の目線で

 実教出版発行の副教材で、部数を伸ばしている『サイエンスビュー 化学総合資料』(本体830円)と『サイエンスビュー 生物総合資料』(本体850円)は、オールカラーで多くの写真・図版を掲載したビジュアルな資料集だ。

今の教育現場では、教員が生活指導などの業務に追われ、授業の準備をするのが難しい。そうした状況では、板書の手間を省いてくれる指導資料・コンテンツが喜ばれるという。

また、内容だけでなく価格についても、教科書会社ならではの意識がある。同シリーズは350ページ超えの大型本(AB判)にもかかわらず、価格を可能な限り抑えている。

大庭常務取締役は「高校生が買うものなので、価格が高いと負担が大きくなってしまう。価格は抑えていきたい」と語る。

旧システムからの移行、決め手は出版特化の開発力

 実教出版では30年にわたって、COBOL(プログラミング言語)の販売管理システムを利用していた。しかし、サポートや保守の終了など、システムの将来性が見込めないことから、新しい販売管理システムを構築することになった。

大庭常務取締役は、光和コンピューターを新システムの開発会社に選んだ理由を、「出版に特化したシステム開発会社であること。また、生産管理部と経理課で光和コンピューターのシステム導入が先に決まっていたことも決め手の一つだ」と説明する。

販売管理システムは旧システムからの切り替えが差し迫っていたため、約1年半の急ピッチで導入が進められた。

重複した業務を一元化、シームレスで効率改善

 営業部の佐宗孝樹氏は、「高校用教科書は今年採択してくれたからといって、来年もしてくれるとは限らない。以前のシステムから営業データを引き継ぎ、採択データの蓄積を始めている。過去の教科書の採択推移や分析には過去データは必要不可欠だ」と強調。

生産管理部の津嶋尚武氏も「増刷手配の早さと正確な発注業務は毎日が戦い」と表現する。先行して進めていた生産管理部のシステム導入は、要件定義から本稼働まで約4年弱の期間を要した。

津嶋氏は、「特殊な本がいくつかあり、同一システム上から発注・請求で苦労があったと思う。やはり私たちの仕事をきちんと理解してもらえないと、システム化してプログラムに上げるのが難しいようだった。しかし、その一線を越えてからは話がスムーズに進んだ」と述べた。

また、総務部で経理を担当する柳川紗菜恵氏は「図版などの請求書を書目ごとに計上するシステムが一つ。生産管理部との絡みでは、受け取った製本の注文データを承認すると紙の材料費などが計算され、帳簿に反映される。大きい点ではこの二つを利用している」と話した。このほか、決算で営業部と各種帳票の突き合わせや印税の計算などでも、光和コンピューターのシステムを利用している。

販売部門では、拡販活動から受注、供給、代金回収業務を行い。生産管理部門は、紙の手配から印刷会社への発注業務、編修部門との内容の確認などを担っている。経理課では、各部門からのデータを整理、確認し決算処理を実施する。大庭常務取締役は、「各部署で同じ光和コンピューターのシステムを使っているので、今後はいかに業務を効率化していくかだ」と、シームレス化による業務改善に意欲を示した。