往来堂
Net21、顧客管理システム
「Books CREW」導入
「書店顧客管理システム」 「Books CREW」
往来堂様 (文化通信bBB 2009/3/23掲載)
有限会社 往来堂
往来堂は不忍通り沿い、根津と千駄木の中間地点にある、街の小さな本屋です。
住所 | 東京都文京千駄木2-47-11 |
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TEL&FAX | 03-5685-0807 |
営業時間 | 10:00~22:00 |
休業日 | 年中無休 |
㈲Net21はこのほどポイントカードで顧客の購入履歴などを収集・分析する顧客管理システム「Books CREW」を導入した。中小書店がこうしたシステムを独自で導入することは珍しいが、データを使った仕入や陳列など、マーケティングへの活用を目指している。導入店舗のうち、東京・文京区の往来堂を紹介する。
商店会カードから切り替え
「Books CREW」はNet21の売り上げ分析システムを手掛けている光和コンピューターが開発し、データ管理など運用も代行する。同社のPOSシステムを導入している店舗なら、ソフトウェアの入れ替えで稼動することができる。
3月1日に導入した往来堂も光和コンピューターのWeb-POS「Web STAR」を利用しているため、ソフトの入れ替えで導入。ポイントカードはバーコードで管理していることから、バーコードリーダーも従来から書籍・雑誌に使ってきたスロットスキャナをそのまま利用している。
同店はこれまで文京区の商店会連合会のスタンプ式ポイントカード「ぶんぶんカード」に加盟してきたが、移行期間において6月には「Books CREW」に完全移行する。 笈入建志店長は「スタンプ式のポイントカードでは、顧客情報や購入履歴を収集できないうえに、顧客の囲い込み効果は限定的で、売り上げアップという導入当初の効果も時間が経って薄れてきた」と話す。
「ぶんぶんカード」は購入額105円につき1ポイントを発行し、350ポイントで500円の金券に交換する仕組みだが、小売店が1ポイントを2円で購入しなければならず、毎月4~5万円かかっているという。
導入コストは32万円
「Books CRWE」は、顧客に氏名、住所、電話番号、生年月日、性別を記入してもらい、バーコード入りのプラスチックカードを渡し、後で顧客管理画面で顧客情報を入力する。
会員には購入額400円ごとに4ポイントを還元し、600ポイントが蓄積された段階で、グッズと引き替えるか、次回購入額の5%に充当する。
カードは1枚35円、申込用紙は3円。往来堂の初期費用は、カードを5000枚用意したコスト17万円と、ソフト交替に15万円の計32万円。このほか毎月の使用料金が6000円になる。中小書店としては決して軽い負担ではないが、これまでの商工会カードのコストと効果を考えれば、新たなシステムへの期待は大きい。
同店店頭では新カードへの切り替えをポスターなどでアピールするほか、レジ前には申込書を記入するための机も用意している。
データを独自仕入れに生かしたい
往来堂は東京メトロ千代田線の千駄木駅に近い不忍通り沿いに20坪で営業している。規模は小さいが文庫や新書以外はほとんど未計らい配本を受けずに独自の品揃えを行っている。また、地元関連書も数多く揃え、地域の人々の姿が絶えない店だ。
そんな店を営む笈入店長は、顧客管理の導入について「現在も当店の顧客ならこのぐらいの冊数だろうと予想して事前注文しているが、実際にどうなのかを具体的に確認して仕入れの制度をあげたい」と話す。
ポイントサービスの顧客囲い込みによる売上げ増加の効果は、導入後1年程度で落ち着くといわれており、蓄積したデータを仕入れや陳列、プロモーションにどれだけ活かせるかが成否の鍵だという。
笈入店長も、優良顧客を抽出してDMを送ったり、売り伸ばし対象品のポイントを倍付けするなど、プロモーションへの活用を想定している。また、データが蓄積されてくれば、顧客の地域分析も行いたいと考えている。
エコポイントなども容易に設定
「Books CRWE」では、商品の買い回り状況を調べたり、顧客の購入回数と購入額から優良顧客を抽出する「RFM分析(Recency Frequency Monetary)」などの分析機能や、DM宛名出力機能などもあるため、自店の顧客を分析してアプローチすることができる。
また、レジの任意のキーにポイントを設定することもできるため、雨天に全会員に一定ポイントを付与したり、カバーや紙袋が不要な会員にエコポイントを発行するような運用も容易にできる。
また、本部では商品ごとに還元ポイントを設定したり、各店の全データでの分析も行うことができるため、導入店舗が増えれば利用の仕方も広がると見ている。
現在は22法人、60店舗の加盟店のうち、往来堂のほか恭文堂(目黒区)、井上書店(昭島市)、進駸堂(小山市)の4法人が導入しており、今後も順次、導入店が増えていく見込みだ。
(注)RFM分析
RFM analysis / recency, frequency, monetary analysis
顧客の購買行動・購買履歴から、優良顧客のセグメンテーションなどを行う顧客分析手法の1つ。データベースマーケティングにおいては、顧客データ分析の最も基本的なものであり、アナリティカルCRMシステムなどに機能として実装されていることも多い。
R(recency:最新購買日) いつ買ったか、最近購入しているか
F(frequency:累計購買回数) どのくらいの頻度で買っているか
M(monetary:累計購買金額) いくら使っているか