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事例紹介

Case

出版システム総合出版直販系出版

ディスカヴァー・トゥエンティワン
直取引出版社の販売管理システム
リプレースで書店との連携を実現

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(出版ERPシステム 販売管理)
㈱ディスカヴァー・トゥエンティワン 様(文化通信bBB 2013/11/4 掲載)

株式会社 ディスカヴァー・トゥエンティワン

代表取締役 伊藤守
取締役社長 千場弓子
資本金 2000万円
所在地 東京都千代田区平河町2-16-1 平河町森タワー11F

 書店との直接取引を行っているディスカヴァー・トゥエンティワンは、2013年4月にシステムのリプレースを実施し、作業時間の短縮など効率化を実現した。また、出荷・返品データや書店の実売データから営業支援ツールを作成するなど、直取引ならではの営業へのデータ活用を積極的に進めている。

書店との連携課題に

 同社は1985年に創業したが、当初から書店と直接取引を行ってきたため、システムも取次を利用する一般的な出版社とは違っている。

 当初は関連会社で開発した独自システムを利用していたが、2004年に光和コンピューターの販売管理システムを導入。このシステムが古くなったことと、同社の刊行点数、取引書店数、出荷量が増えたこともあって、システムをリプレースすることにした。

 同社デジタル・コミュニケーション・グループの小関勝則部長は、リプレースに当たっての課題として、「ただ業務を効率化するだけでなく、書店様とのデータ連係をできないかということでした」と振り返る。

 2011年10月に開かれた光和コンピューターの創業20周年パーティーで、光和の書店システムBookAnswerを導入している書店の話を聞いたこともあり、光和コンピューターの書店システムとの連携を考えたという。

取引先は5200軒

 直取引では、扱うデータの件数が多い。「各取引書店様のすべての出荷とすべての返品を自社管理しています」(小関部長)からだ。

 取引先の数はマスタ上では約4万5000軒(共有書店マスタをベースに2004年に整備)、このうち何らかの取引があるところが約1万件、頻繫に取引があるところが約5200軒にのぼり、これらの取引先ごとに受注、出荷、返品、請求、入金確認といった作業が発生する。

出版社共同受注サイトに参加へ

 受注から納品・返品までの流れも自社でこなす。

 まず受注については営業担当者が訪問して受注する分、書店から電話・FAXで受注する分があるほか、新システムになってからBookAnswerを導入している一部書店からは書店システム経由での受注も始まっている。

 また、TSUTAYAの店舗については、MPDと契約して、店舗システムからMPD経由で受注する方法もスタート。さらに、出版社共同受注サイトでの受注も年内には実現する見通しだ。

 このように受注方法を拡大している同社だが、受注冊数では営業担当者が取ってくる注文が多い。全社員約50人に対して、営業スタッフは外回りの担当者が20人、電話受注担当や契約スタッフを合わせると30人以上になる。

 こうした営業担当者が直接店頭を訪問するなどして集めてきた注文は、各自がPCでEXCELに入力すると、CSV形式のデータで販売管理システムに取り込む仕組みになっている。

 ただ、刊行点数が約1200点、稼働点数が約700点と既刊書が増えてきたことで、「自動的に注文できる仕組みが必要になっています」(小関部長)。このため新たな受注方法を準備している。

14時までの受注なら最短で当日出荷

 在庫管理と出荷業務は京葉流通倉庫株式会社に業務委託している。倉庫には10時と14時の2回、出荷指示データを送っているが、ここで受けた分はほとんど当日出荷しており、14時以降の受注も翌日には出庫する。このため、書店には発注から最短で、1日もしくは2日で着荷する。

 返品については、京葉流通倉庫で受け、午前中に届いた返品なら、当日夜には検品データがディスカヴァー・トゥエンティワンに届き、システムに取り込む。月末の締日に着いた返品であればすべて当日処理し、翌月には繰り越さない。ここでは「返品の同日清算問題」などは起こりえないわけだ。

 送返品とも宅配便を利用するが、送品の費用は同社が負担し、返品の送料については、着払いで受け取るルールにしている。

 請求は月末に締めて2営業日で請求データを作成し、請求書を送付。以前は請求データの作成に半日程度かかっていたというが、新システムになって2~3時間に短縮された。

販売データを使って営業支援

 販売データはインテージを経由して収集している。一部の大手取次がデータを提供していないというが、現在、売上金額の70%程度は収集できるようになっている。ただ、日次データとなると、まだ30%程度にとどまっている。

 データの活用方法を考え、実際にデータ加工を行っているマーケティング・グループ戦略企画室の堀部直人氏は、「配本の適正化分析、増刷の判断といったマクロの利用から、店舗で品切れしているとアラームを出して営業担当がフォローするといったミクロの利用もできる」とその価値を説明する。

 営業担当者が持つiPadには毎週、担当する書店の書籍ごとの累計納返品数、実売数、在庫数などと、商談すべき商品などが入った「書店フィードバックシート」が送られる。在庫が少なくなればこのシート上にアラートが出たり、実売が上がっていなければそれも表示される。これほど詳細な取引先のデータを持って訪店する出版営業は、同社以外にはほとんどいないだろう。

 小関部長は、これも「受注から出荷、返品まですべてのデータを持っているからできるのです」と、直取引のメリットだと強調する。営業支援を戦略的に組み立てる戦略企画室は、堀部氏を含めて2人の陣容だ。

 新システムに移行したことで、こうしたデータ加工も効率化され、「納返品のデータをすべて引き出すと、以前は数時間から半日かかっていましたが、10分ぐらいに短縮されました」と堀部氏。これを活用して、これからも営業現場と連携したデータ活用を進めていく考えだ。

1店ごとに決める「新刊配本」

 また、同社は事前に書店と相談して、ジャンルごとに部数を決め「配本」を行ってきたが、今年4月に方法を変更した。

 ジャンルで固定していた配本部数を、書店の販売実績を勘案して、初回部数ごとに変動するようにした。こうすることで、強い商品は多めに、そうでないものは抑え気味な配本を実現。半年後の検証では、「納品数は増えて、実売率も向上しました。配本数をコントロールしたことで、営業担当者の主観に基づいた配本数の増減が是正されました」と堀部氏は効果を強調する。

 この仕組みは今回の新システム導入後に企画されたため、今後、システムに組み込んでいくことを予定している。