1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. デジタル・オンデマンド
  5. DOD出版センターサービスイン説明会を開催「スマートペーパーバック」などを新提案

事例紹介

Case

デジタル・オンデマンド

DOD出版センター
サービスイン説明会を開催
「スマートペーパーバック」などを新提案

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
デジタル・オンデマンド出版センター
(文化通信bBB 2015/5/25 掲載)

DOD出版センター

デジタル・オンデマンド出版センター(DOD出版センター)は5月15日、東京・江東区のホワイトカンバスMON-NAKAで出版社向けにサービスイン説明会を開き、「スマートペーパーバック」「復刊ドットコムとの連携」「ハイブリッド出版」という三つの新サービスを発表し、テストマーケティングでの導入事例などを報告した。

光和コンピューターなど6社による協業

 DOD出版センターは、光和コンピューターが事業主体となり、欧文印刷、京葉流通倉庫、研文社、SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ(SCREEN GP)、メディアテクノロジージャパンが運営に参画している。

 説明会では、運営委員長を務める光和コンピューター・柴崎和博社長が挨拶に立ち、「DOD出版センターは印刷、印刷機器、システム、流通が集まったベンチャーであり開かれた組織。業界の役に立つことが目的で、出版社がより機動的に本を作ることができる環境を整え、本がもっと売れるようになることを願っている」と語った。

中小出版社が利用しやすい低コストサービス

 続いて、サービス概要を説明したSCREEN GP・平林利文氏が、特徴として①システム・製作・物流のそれぞれの分野からプロフェッショナル企業が集まった協業によるサプライチェーン②ロール式インクジェット印刷機を活用した「まとめて束ねる」JOBギャンギングで高品質・低コストを実現③従来のトナーPDO出力にも対応し部数に応じた多様な要望に応える——と述べた。

新方式「スマートペーパーバック」

 昨年実施したテストマーケティングでは、本文1色、表紙4色、カバー・帯・スリップなし、発注ロット30冊からを標準仕様としたが、「スマートペーパーバック」は表紙を4色両面印刷することで、原本のカバーソデ部分を表2、表3に印刷。また、PP加工、ニス加工、透明カバー(実費)にもオプションで対応する。

 発注ロットは10冊から可能で、ウェブ校正などによってコスト削減し、1冊の製作費は本文モノクロならば基本料金180円とページ単価2.5円に抑えた。

復刊ドットコムとの連携

 復刊ドットコムは、出版社が復刊・重版の検討材料に利用できるように、自社に集まったリクエスト情報を出版社に提供する「復刊オープンマーケティング」を行っている。

 この中で提供している、一定期間で一定冊数の予約注文を募り、集まった場合は復刊・重版するという「仮予約」機能で需要を確認して、「スマートペーパーバック」で復刊することを提案。復刊ドットコム・吉田淳営業課長が同社のサービスを説明した。

初版から重版まで対応する「ハイブリッド出版」

 「ハイブリッド出版」は、初版時にカバー・スリップなどの付き物をオフセット印刷で、本体をオンデマンドで作成し、重版はオンデマンドで製作して初版時に作った付き物を装着することで、初版のロット300~800冊重版ロット30冊以上という、初版時から少ない部数を対象とした出版方式。

 この方式は、初版時は印刷会社から取次会社への搬入が可能なほか、出版倉庫業者と連携することで、付き物の保管や重版時のスリップ挿入、カバー掛けにも対応。このことで、オンデマンドでも通常ルートでの流通が容易になる

テストマーケティンタの事例報告

 説明に続き、エスアイピー・アクセス・富澤昇社長、日本教文社・渡辺浩充IT戦略部部長が実例を報告した。

◇富澤社長◇
 7~8年前からプリントオンデマンド(POD)を利用していたが、ページ単価が7~8円だった。DOD出版センターの提案はページ単価が従来型に比べて安かったので試してみたが、品質は問題がなかった。

 コンピューターの専門書なので、専門家向けにそこそこ売れるが、ぺージ数が多くコストがかかる。部数を多く作成しても、販売に長期間かかるため、資金回収に時間がかかってしまう。そのため、在庫を持たずにオンデマンドによって小ロットで作成する必要がある。

 ジュンク堂書店池袋店では月に20~30冊販売する。このほか、紀伊國屋書店新宿本店や書泉グランデなども含めて、オンデマンド版にスリップを入れて自分で直接納品してしる。

 ただ、少部数のため、製作単価が安いDOD出版センターでも初版の原価率が36.5%、重版で34%になる。原価率が3割を下回らないと通常ルートではボランティアの状況。

 オンデマンドを有効に使うためには、①販売価格を上げる②タイトル数を増やす③一般書店の流通ルートから外す(流通マージンを無くす)——といった取り組みが必要。

在庫をコントロールできるのがメリット

◇渡辺部長◇
 以前からオンデマンド出版ができないかと考えていたが、当社の本は一般読者を対象にしているため製作費が高く設定価格が上がってしまうのでできなかった。そんなとき、出版梓会でDOD出版センターの説明を聞き、昨年7月に50年ほど前に刊行した『フロイド選集』など名著10点をPODで作成した。

 当初、営業部門から返品を改装するため「カバーが必要」と指摘された。しかし、アメリカなど海外の書籍はほとんどがペーパーバックだと気がつき、返品を発生させずにカバー無しを前提にした受注出荷の形を考えた。

 具体的には書店に必備として1点を2冊納品し、1冊を棚に差して売れたら発注してもらう。どうしても1冊残ってしまうのであれば、1冊に「見本」のラベルを貼って、ずっと置いておくこともできる。実際に営業担当者の知り合いがいる八重洲ブックセンターで実現している。

 いまはPOD出版センターでの製作が1カ月に1回だが、もっと頻度を上げたい。JOBギャンギングは1点のロットが少なくてもアイテムが集まれば製作頻度を上げられるので、是非、多くの出版社に参加してほしい。

 いまは商品が入荷してから発売まで数日の期間を取り、その間にスリップ、投げ込みチラシを入れ、取次にデータ見本を納品する。また、出版VANの在庫ステイタスを変更したり、アマゾンの「ベンダーセントラル」で説を登録するなど、販売の準備をしている。

 これまでに累計で1300部を製作し600部を販売した。このうちアマゾンで150部ほど販売している。それぞれ在庫が15部ぐらいになると重版を検討している。

 DOD出版センターは、出版社が製作するロットや在庫をコントロールできるため、書店やオンライン書店など多様な流通に出庫できるメリットがある。