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事例紹介

Case

出版システム学参系出版

英俊社
「過去問」という特殊な商品、
一般とは異なる配本にも対応できるシステム

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(取次・直販、配本管理)
英俊社(文化通信BBB 2019/5/27 掲載)

㈱英俊社

代表者 久保博彦
創 業 1974年
資本金 1000万円
従業員 25人
所在地 〒546-0003
大阪市東住吉区今川7丁目3-21
電 話 06-6704-9535

 英俊社の主力商品は中学、高校入試の過去問題集。学校ごとに入試問題が異なる私立校の商品などは、同じエリアの書店でも細かくタイトルを分けて配本する必要がある。
 光和コンピューターのシステムは、こういった特殊な配本管理にも対応、また近年、英俊社が展開する学習塾向けの教材作成支援システムとも販売面の連携を図るなど、あらゆる形態に適応し、能力を発揮している。

中学、高校受験生の圧倒的支持受け45年

 英俊社の主力商品は、近畿圏を中心とする中学、高校入試の過去問題集。表紙の色から「赤本」と称され、創業以来、受験生から根強い支持を受けて今年45周年を迎えた。年間、中学入試が約150点、高校入試は約270点、その他参考書等含め約480点を刊行。関西では圧倒的シェアを占め、なかでも『大阪府公立高等学校過去問』は例年、受験者の6割以上が購入するという超ロングセラー商品としても知られる。

 また、長年培った過去問データ、ノウハウを生かし、2011年からは「予想テスト」シリーズの刊行を開始し、好調に推移しているという。

新たな収益の柱、教材作成システム「KAWASEMI」

 同社は、長年蓄積してきた膨大な過去問題データを活用し、2014年に凸版印刷と共同で学習塾向け教材作成支援システム「KAWASEMI」を開発。「KAWASEMI」は利用希望の塾が会員登録し、英俊社所有の25万以上の過去問題から生徒ニーズに対応した教材を作成できる画期的なサービス。

 これまで各塾は、著作権に抵触する恐れがありながらも、生徒に適した教材を作ろうと、既存の問題集を切り貼りする行為が少なからずあったという。

 同社は著作権使用の許諾を得ており、利用者は合法的にオリジナルの問題集を作成でき、他塾と差別化が図れるなどメリットが大きい。印刷・製本、納品まで英俊社が請負い、費用はページ数、製本形態、部数などで決まる。現在、近畿をはじめ首都圏、九州などの多くの塾がこのシステムを利用している。さらに2015年には一定の利用料を支払えば、必要な問題を集め、すぐにプリントアウトして使えるプリント教材作成システム「KAWASEMI Lite」をリリース。現在約1000教室が利用している。久保博彦社長は「毎年、『過去問題集』を出版して完結していましたが、「KAWASEMI)や『KAWASEM ILite』は二本目の収益の柱になっています」と手応えを話す。

独特の配本形態に適応

 同社が光和コンピューターのシステムを導入したのは10年以上前。それまでオフコンで販売管理していたが、出版業界特有の取引形態、商慣習に適合させるのは容易でなく、対策を思案。出版システムに定評があった光和コンピューターのシステムを導入することに決めた。

 英俊社は「年度版過去問」という商品の性質上、地域によって配本する商品(タイトル)が細かく異なるため、見計らい的な配本はできない。毎年、店舗ごとに、各タイトルの正確な販売実績数を精査し、新年度版の配本を指定する。光和のシステム導入前は、異なる仕組みやデータベースを同じ仕様に構築できるソフトウェアで実績、配本数を算出していたが、出版専用のソフトでなかったこともあり、時おり支障が生じ、また使い勝手の面でも精彩を欠いていた。

 同社が光和コンピューターに依頼した仕様は「取次・直販販売管理」と「配本管理」のシステム。前述した同社の指定配本、基本的にすべて注文品という特有の取引形態をシステムに組み込んだ。

 配本管理の責任者、営業部・和田弘行次長は「当社独特の配本手法、また昨今の返品問題等、これまで以上にシビアな配本が必要ですが、光和さんのシステムは十分対応できています」と、長年、同社の業務に貢献できていると話す。

 また「KAWASEMI」の受注データも光和のシステムに組み込まれ、販売管理に貢献している。

 問題発生時の光和コンピューターの対応も早く、和田次長は「先日も不具合が生じ、危うく配本の伝票作成等を手作業で行うところでしたが、光和さんに連絡を取ると、その日のうちに修復してくれました」と感謝を示す。

倉庫も大村紙業に変更

 一昨年までは商品を、本社内の倉庫と、製本会社(大阪)の倉庫に置き、出荷業務も主に製本会社に委託していたが、昨年、大村紙業に在庫管理、出荷業務を委託した。

 理由は、流通拠点が東京に集中している点、また出荷作業が本業ではない製本会社では少なからずの不都合も生じていたため。大村紙業に委託したことで、英俊社と光和コンピューターの間で、倉庫連携システムを構築し、いくつものメリットが生まれている。

 現状の課題や今後の要望について、和田次長は「受験用の年度版が主なので、刷部数も限定的で効率良く配本しなければなりません。昨今、書店の開閉店が激しく、当社も共有書店マスタを利用しながら独自の方法で管理していますが、閉店した先に送本することが稀にあります。返品に時間がかかり、受験が終わっていれば廃棄。例えば光和さんのシステムと書店マスタが連携し、それを当社の管理手法とリンクできるような仕組みができれば非効率な面がなくなります」と新システムの構築を願っている。