日本マーケティング学会
会員管理から論文審査プロセス管理まで
ウェブシステムが活動のプラットフォームに
出版ERPシステム
(会員管理、論文審査プロセス管理)
日本マーケティング学会(文化通信BBB 2020/8/3 掲載)
日本マーケティング学会
創 立 | 2012年8月2日 |
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会 長 | 古川一郎 |
会員数 | 2015人 |
所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木3-5-27 六本木山田ビル9階 (公益社団法人日本マーケティング協会内) |
日本マーケティング学会は会費の決済や会員管理、研究会の参加者募集から参加費徴収、さらにはカンファレンス報告論文の審査までもウェブサイトのシステムで行っている。組織のマネージメントや顧客管理など、企業にとっても参考になりそうなシステムだ。
会員の加入年数なども表示
同学会は2012年8月2日に発足した比較的若い学会だ。発足8年で会員数は2015人まで拡大。会員のうち66%を実務者が占める。
「マーケティングに関心がある人なら誰でも参加できます。実務者と研究者が交流することが大切だと考えています」と話すのは、自らも無印良品での実務経験を持つ西川英彦副会長(法政大学経営学部教授)だ。
同学会のホームページは、会員数や実務者・研究者、男女の比率などもリアルタイムに掲載。会員のマイページでは、学会では珍しいロイヤルティプログラムのための学会への加入年齢なども確認できる。
また、秋に開催する研究大会「カンファレンス」や、35ほどある研究会「リサーチプロジェクト」、テーマを決めて随時開催する「マーケティングサロン」、オンラインのみで発行する学会誌「マーケティング・ジャーナル」など活動の柱を支えるのもこのシステムだ。
「システムを使って会員種別や地域ごとにメールマガジンで開催告知ができますし、参加費のカード決済や領収書発行もウェブ上で可能です。サロンや研究会を思い立ったらすぐに開けますし、告知すると60人ぐらいはただちに集まります。システムが活動のプラットフォームになっているのです」と西川副会長。
会員データベースとメーリングリストが連動しているので、理事のみに発信するメールや会員全体に送るメールなど、会員種別や地域に合わせて自動的に情報発信できる。
また、理事による匿名の査読が必要なカンファレンス報告論文の審査もウェブ上でプロセスを管理できるため、オンラインを介しての迅速な審査が可能。同時にベストペーパーの投票も実施され、受賞論文は新学会誌「マーケティングレビュー」への掲載権利をもつ。
改善・機能追加重ねて整備
同学会のホームページは設立と同時にオープンした。当初は博報堂と博報堂アイ・スタジオが作詞し、ロゴやウェブのデザインや監修は博報堂のデザイナー・永井一史氏が手掛けた。
基本的な構造はこのとき完成したが、2013年から光和コンピューターがシステム改善や機能追加などを担当するようになった。ロイヤルティプログラムの仕組みや、カンファレンス報告論文の審査プロセス管理などは同社が開発した。
「マンパワーではなくシステムで対応しようという発想です。比較的新しい学会ですから、多くの学会で課題になっていることを解決しようと、いろいろなアイデアを取り込みながらシステムを改善・拡張してきました」と西川副会長は述べる。
全会員が投票する「日本マーケティング本大賞」
同学会の「日本マーケティング本大賞」も学会誌としてはユニークな賞だ。
通常の学会賞は、会員で構成する審査委員会が研究成果として優れたものを選ぶ。もちろん審査の過程は審査結果以外明らかにされないのが普通だ。
ところがこの賞は、対象が1年間に刊行された研究書だけでなくマーケティングに関する本全て。しかも、全会員による1次投票でお勧めできる本をノミネートし、2次投票で大賞、準大賞を選び票数も公開する。「本屋大賞」も参考にしたという。
ちなみに2019年度の大賞受賞は西川会長も編著者の一人である『1からのデジタル・マーケティング』(碩学舎)。
「通常の学会賞でテキストが選ばれることはないと思うのですが」(西川副会長)というが、最新のデジタル・マーケティングについて「実務的な示唆を多分に含む良書」として選ばれた。
今年度も既に1次投票によるノミネートで10作品が選ばれているが、書店の品揃えの参考になりそうな書目である。