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事例紹介

Case

出版システム総合出版

日本能率協会マネジメントセンター
「取次」を知るシステムを導入
業務の効率化を実現

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売・原価・印税)
日本能率協会マネジメントセンター様(文化通信bBB 2017/3/6 掲載)

㈱日本能率協会マネジメントセンター

設 立 1991年8月8日
資本金 10億円
売上高 連結158億円、単体133億円(2016年3月期)
代表者 長谷川隆
従業員 連結498人、単体366人(2016年3月時点)
本 社 〒103-6009 東京都中央区日本橋2-7-1東京日本橋タワー
電 話 03-6362-4800(代表)

 日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)はこのほど、出版事業で光和コンピューターの「出版ERPシステム」を導入した。それまで利用してきたビジネスアプリケーション「SAP」とも連携して、各種業務の効率化などを実現しているという。

人材育成、手帳、出版が3本柱

 同社はビジネスパーソンに向けた通信教育や研修(講師派遣)、セミナー、eラーニング、アセスメントなどの人材育成支援事業と、「NOLTY」、「PAGEM」「Bindex」といったブランドで知られる手帳事業、そしてビジネス書や資格関連書籍を発行する出版事業を3本の柱として事業を展開している。

 このうち、今回、新システムを導入した出版事業では、年間で資格関連書籍を40点、ビジネス書を50点ほど刊行し、直販の定期購読誌『人材教育』も月刊で発行している。

SAPから管理を移行

 管理システムは10数年前に、ドイツのシステム会社SAP SEが開発したビジネスアプリケーションを全社で導入し、各事業部門を一元管理する体制になった。しかし、もともと大手メーカー系企業向けに開発されたSAPのシステムは、「現場では使いにくい部分がありました」とNPB事業本部事業管理部・日置英司主査は述べる。

 SAPはパッケージソフトだったため、業務をシステムに合わせる必要があった。無数に近いパラメーターを設定できるといった柔軟性も、日常的な管理業務ではほとんどの項目を使わない。しかも、環境の変化に合わせてシステムを改変すると大きなコストが発生した。

「取次」知っているシステム会社に

 このため、2014年頃に「少なくとも出版事業は『取次』を知っているシステム会社に変更したいと考えました」と日置主査は述べる。

 新システムを導入するのに当たっては、出版システムを手掛ける複数のメーカーを調べ、最終的には光和コンピューターともう1社の2社に絞り込んだ。

 光和コンピューターを選んだのは、他の出版社でSAPと連携した経験があったため。新たに導入する出版システムは、集計データをSAPの会計システムと連携する必要があったからだ。

 導入したシステムは、取次・直販の販売管理や在庫管理を行う「出版販売管理システム(書籍)」と「原価管理システム」。販売管理システムは昨年5月、「原価管理システム」は同10月に稼働した。さらに今年7月には「印税管理システム」も稼働する。

物流業務はワタナベ流通に

 また、今回、在庫管理や入出庫を行う物流の委託先も、光和コンピューターのシステムとの連携実績が多いワタナベ流通に変更した。これにより、取次からのVAN発注、書店からや直販の電話注文、フェア用出荷などのデータをワタナベ流通に送り、逆に入出庫のデータを受信する体制になった。FAX注文はワタナベ流通が直接受けて出荷処理を行っている。

 SAPは外部からアクセスすることが難しかったため、以前の倉庫業者では在庫データを直接確認することができず、EXCELで在庫表を作成して共有するという手間がかかっていたが、いまはデ一タ交換によってほぼリアルタイムに在庫情報が共有できている。

「仮伝」処理も自動化

 新システムに移行して「業務は楽になりました」と述べるのはNPB事業本部業務推進部・三浦真紀子主査。

 SAPでは受注処理や請求業務など、段階ごとに入力しなければならなかったが、新システムでは受注時に入力したデータが出荷確定、請求処理、月1回の請求書発行まで引き継がれる。

 また、SAPには書店へ直接納品した場合などに発生する「仮伝」という考え方がなかったため、そういう場合はEXCELで別に伝票を作成し、取次への請求時に改めて伝票入力するといった手間がかかっていたが、いまは「仮伝」の時点で在庫が引き落とされ、自動的に「本伝切替」できるようになった。

 在庫がない状態で、新刊発売、重版など先の予定に合わせて取次搬入・出荷を登録できるようにもなった。これにより「前倒しで仕事ができるようになりました」と三浦主査は話す。

 「システムに詳しくなくてもほとんどのデータをCSV形式で出せるように設定されています」と三浦主査もデータ活用が容易になったと述べている。

システム導入で業務見直しも

 新システムへの移行に合わせて、従来の業務を見直すこともできたという。「これまでNBP事業部以外で販売した売り上げを『内部売上』と呼んで処理していましたが、明細を全て入力しなければならず、量の割に時間と労力がかかっていましたが、処理方法を見直して数分で処理できるようにしました」と三浦主査。

 さらに、在庫棚卸時の断裁処理も、運用を見直すことで複雑な手続きを簡略化させることができたという。

DOD出版センター利用しPOD版発行も

 このほか、同社では光和コンピューターも出資するデジタル・オンデマンド出版センター(DOD出版センター)が提供するPOD(プリント・オン・デマンド)を利用して、工業英検(工業英語能力検定試験)の問題集2点の改訂版を、テストマーケティングの目的もあって各600部刊行。また、今後は手帳事業でも光和コンピューターのERPシステムの利用を検討しているという。