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事例紹介

Case

出版システム専門書出版

キネマ旬報社
受注から出庫までの流れが改善
積極的な出版活動のため物流・システム変更

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
キネマ旬報社 様 (文化通信bBB 2010/11/1 掲載)

▲左から、清水勝之氏、平野豊氏、加藤幸子氏、泉雅子氏

キネマ旬報社

本 社 〒107-8563 東京都港区赤坂4-9-17  赤坂第一ビル
創 業 1923年
資本金 1億円
代表取締役 小林光氏
従業員数 51名

 映画関係の雑誌、書籍を刊行するキネマ旬報社は、新ジャンル開拓のため、今期から書籍の刊行点数を増やすなど積極的な出版活動を展開しているが、それを支えるための物流とシステムを見直した。
 同社は1919年に“キネ旬ベスト”で知られる雑誌『キネマ旬報』を創刊し、1923年に会社として創業。その後、太平洋戦争で一旦終刊したが戦後再建され、映画専門の出版社として営業を続けてきた。
 2008年にはビデオレンタル店などを対象にした業界専門誌を発行するフットノートを吸収合併し、現在は一般市場向けの映画雑誌、書籍の発行と、業界向け専門誌『VIDEO INSIDER JAPAN』、『DVDナビゲーター』の発行を行っている。

物流とシステムを見直し

 システムは、今回の導入まで10年ぐらいは自社開発のソフトを利用してきたが、物流委託先の変更に伴って、新たに光和コンピューターの販売管理、定期購読者管理、印税原稿料支払管理システムを順次導入している。

 物流業務は、昭和図書の子会社「出版ネット&ワークス(出版N&W)」に委託した。これまでは、「改装したものが見つからなくなったり、在庫数が合わないなど課題があった」ためだと、清水勝之取締役営業本部長はいう。

 また、物流委託先を変更した理由は、書籍の刊行点数が増加して、これまで以上に迅速で正確な入出庫、在庫管理が必要になってきたという背景もある。

韓国コンテンツなど積極的な活動

 同社は業界向け専門誌を発行しているが、2008年秋のリーマンショック以降、多くの雑誌と同様に広告は厳しい状況が続いている。そのため、2009年に32~33点だった新刊書籍の発行点数を今期は月間目標約5点、計52点に増やし、事業のシフトを進めている。

 具体的には、伝統的な映画関係書籍に加え、韓国ドラマ・韓国ポップス(K-POP)系の書籍及びムックを今年は10点、来年は20点の刊行を予定しているという。

 韓国ドラマは一時の熱狂的なブームは沈静化したが、CSで専門チャネルがいくつも成立するなど一定のファンを抱えるジャンルとして定着。同社ではこのジャンルを「早い段階から出していました」といい、今でも「それぞれ2~5万部に達しており、1万部未満ということはまずありません」(出版営業部・平野豊マネージャー)と手堅いジャンルとなっている。

 さらに、今年11月からは、K-POPの専門媒体を季刊ペースで刊行する。「定期刊行物と単行本をセットにして新しいマーケットに参入していく」(清水取締役)という戦略だ。

物流とのシステム連携を重視

 このような積極的な出版活動を支えるために、物流とシステムの改善に取り組んだ。出版N&Wを選んだのは「クオリティーとコストを勘案して決めました」(清水取締役)といい、システム会社は、出版N&Wとのシステム連携が容易な光和コンピューターを選択したという。

書店からの問い合わせ、正確に答えられるように

 「在庫・販売管理などシステムの機能が向上し、前よりも精度が向上している」と清水取締役はシステム導入の効果を表現する。以前のシステムは決まった担当者が1台の端末で管理していたため、「人に依存する仕組みでした」(清水取締役)というが、今は営業と営業管理の担当者6人に対して、端末は営業部5台と別部署に3台の計8台で利用できるため、作業も効率化できている。

 また在庫管理についても、出版N&Wでほぼリアルタイムに管理したデータを、出版社側がWebを通して随時チックできる。改装済みと未改装の在庫も正確に把握できるようになったため、「書店さんから問い合わせがあれば、その場ではっきり答えることができるようになりました」(出版営業カストマーリレーション・泉雅子さん)という。

 電話受注も、これまでは用紙に記入して1日1回FAXで出庫指示をしていたが、営業担当が自分で入力するようになった。

リードタイムを一日でも減らしたい

 このように同社の受注から出庫までの流れは改善されているが、清水取締役は、さらにシステム化のメリットを活かす物流体制が必要だと考えている。「今までも受注データを夕方まとめて出版N&Wに送っていますが、翌日作業して出荷まで中1日かかってしまいます。今のような時代には、1日でも減らせれば大きなメリットがあると思います」という。

預かり金の計算など自動化

 定期購読管理は、『キネマ旬報』の定期購読に利用している。購読期間が3ヵ月、6ヵ月、3年間と多様で、しかもそれぞれ割引率が違うため、これまで預かり金の計算は、決算前に1人の担当者が1日かけて行っていた。しかし、新システムでは自動計算が可能になった。

 既に出てしまった雑誌に遡っての購読申込みに対しても、購読開始時期を入力しておけば、自動的に正確な請求書が出力できる。郵便振替、銀行振り込みなど多様な入金方法への対応も容易になったという。

 印税・原稿料計算は、まだ導入2ヵ月だというが、既に「編集部員が自分でエクセルに入力し、プリントアウトしたものを経理で再入力したデータを取り込んでいるのでミスが減りました」(経営管理部マネージャー・加藤幸子さん)という効果が現れているようだ。

直販サービスのサポートが課題

 同社は今年11月に読者サービスの一環として直販サイトを開設するが、清水取締役は今後の課題として、「開始時点では社内倉庫から出荷しますが、今後のクロスマーケティングを考えると、こういう業務をサポートしてくれるサービスがあればよいと思います」と話した。