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事例紹介

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出版システム

株式会社金芳堂
多くの同業他社推奨が新システム導入決め手

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出版システム
株式会社金芳堂
(文化通信B.B.B. 2022/10/4 掲載)

 

(左)『ブラック・ジャックの解釈学内科医の視点』(右)『脳神経外科学』

野村部長(左)と稗田主任

株式会社金芳堂

代表者 宇山閑文
創業 1948年
資本金 1000万円
所在地 〒606-8425 京都市左京区鹿ヶ谷西寺ノ前町34番地
従業員 13人

医学書で知られる金芳堂(京都市)は、光和コンピューターのシステムを導入し、今年から本格稼働している。旧システムは多少の不具合は発生していたものの、コスト面を考慮すれば継続稼働に支障はなかった。しかし、複数の医学書系出版社が光和のシステムを円滑に活用していることを知り、導入を決めた。

医学書専門に京の地で75周年

創業者の小林鐵夫氏(1925年~94年)は、両親が早くに他界、兄も戦死し、立命館大学法学部の中退を余儀なくされた。戦後、京都大学の学生課で勤務した同氏は学生を応援しようとガリ版刷りの講義ノートを販売。さらに、当時、改革が進められていた医師免許制度に着目。戦時中は、医学部や医学専門学校を卒業すれば取得できた医師免許が、1947年から国家試験が必要になった。学生から試験準備の相談を受けた小林氏は対策本の制作に取り組み、48年9月に問題集『外科学解答』を出版。金芳堂が誕生した。
類書がないことから関西はもとより、東京でも好評を博した。続けて『耳鼻咽喉科学解答』、『内科学解答』、『皮膚泌尿器科学解答』などをシリーズ化、1951年の『看護婦国家試験受験のための重要項目及び問題回答集』、その後も「EM新書」や「医師国家試験対策」の各シリーズをはじめ、国家試験に対応した参考書を刊行。多くのロングセラーを生み出し、会社を繁栄させた。

創業者の理念継承

『皮膚科学』(1971年~)、『脳神経外科学』(75年~)、『診療放射線技師 国家試験対策全科』(78~)、『呼吸器外科手術書』(80年~)などは、刊行から50年近く経った現在も医学生、医療従事者らの手引書として活用され続けている。2020年刊の『ブラック・ジャックの解釈学 内科医の視点』(國松淳和)は、医学生、研修医から『ブラック・ジャック』(手塚治虫)世代の医師まで幅広く受け入れられ、発売2カ月で重版が決定するほどヒットした。
近年は年間約40点を刊行し、ほぼ全点を電子化し、デジタル面にも注力する。同社営業部・野村誠部長は「国家試験対策に始まった創業時のDNAを継承し、雑誌で扱うような先端情報ではなく、学生や若い医療従事者が育つ過程に必須のスタンダードな知識や情報を提供しています」と話す。
日本医書出版協会(JMPA)加盟社のうち京都に本社を置くのは同社のみ。しかし、地の利を生かし、京都大学や京都府立医科大学とは執筆の関係など信頼、実績を長年積み上げ、来年75周年を迎える。

特殊な出版業務に最適システム

同社はデータベースソフトAccessを利用した独自システムを使用してきたが、2020年1月のWindows7サポート終了に伴い、対応を検討してきた。野村部長は「旧システムは当社の環境に合わせた独自システムだったため、Windows10へのアップデートの際、外注先から『今後の対応は労力的に困難』と通達されました。以前からOSアップデート時の不具合など問題点が少なからず発生していたので、サポート終了を機に新しいシステムの検討に入りました」という。
結果、「複数社検討しましたが、出版の業務は売上や在庫管理が特殊なのでマッチするシステム構築は難しい点と、なにより多くの同業他社が光和コンピューターのシステムを活用し、スムーズに稼働していると聞きました」と導入決定の経緯を説明する。

データ活用の販売戦略に期待

営業部門のシステム管理を担当する稗田武志主任は新システムについて「旧システムは『売上=在庫減少』でしたが、近年拡大する電子書籍において商品マスター上、『在庫評価しない』と選択できることが効率的です」とし、「どのプログラムもCSVデータで出力できるので、販促活動や在庫管理などデータを活かした販売戦略が立てられます」と利点を話す。
光和コンピューターに向けては「まだ稼働していないプログラムもあり、CSVでのデータ出力の項目やエクスポートデータについても改善の余地があります。
イレギュラーな状況も想定されるでしよう。引き続き助言、指導をお願いします」と要望している。