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事例紹介

Case

出版システム児童書出版

こぐま社
超ロングセラー絵本を支えるシステム
「こぐまちゃん」「11ぴきのねこ」など100刷超えが20点余

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売管理)
こぐま社(文化通信bBB 2020/10/5 掲載)

株式会社こぐま社

所在地 〒112-0014 東京都文京区関口1-23-6
電 話 03-6228-1877
創 立 1966年3月18日
代表者 廣木和子

ロングセラーが多い児童書出版だが、とりわけその比率が高い出版社がこぐま社だ。創業以来54年間で刊行した329点のうち、100刷を超える上位20点ほどが売上の8割近くを占めるという。その背景には読み手の誕生日に毎日800通の葉書を出すといった一人一人の読者に思いを伝える姿勢と、それを支えるシステムがある。

”宝物のような絵本”を目標に創業

同社は1966年に編集者だった佐藤英和氏が「子どもたちが抱きしめてはなさない”宝物のような絵本”を作る」ことを目的に創業。0歳児から未就学までの赤ちゃん絵本を刊行してきた。
創業翌年には代表作のひとつとなる馬場のぼる「11ぴきのねこ」シリーズ(6点)をスタート。1969年には、にしまきかやこ『わたしのワンピース』、1970年には「こぐまちゃん」シリーズ(15点)の3点を発売した。
「こぐまちゃん」シリーズの『しろくまちゃんのほっとけーき』が232刷320万部に達したことをはじめ、『11ぴきのきつね』が201刷158万部、『わたしのワンピース』が193刷180万部、比較的新しい2005年刊の三浦太郎『くっついた』が77刷110万部など息の長い作品が多い。
従業員は17人、このうち編集は著作権担当1人を含めて4人。この体制で新刊点数は年6点と少ないが、「創業者は編集者として、これはと思える本しか出してきませんでした。いまも編集者たちはその思いを受け継いでいます」と社長の廣木和子さんは話す。
読者は3世代目に入っており、長年刊行を続けてきた「11ぴきのねこ」や「こぐまちゃん」シリーズは、年配者にも根強いファンが多い。

愛読者管理でシステムをカスタマイズ

同社のシステムは、廣木社長が入社した20数年前はオフコンシステムを使っていたが、2004年に光和コンピューターのパソコンシステムを導入。このとき個人顧客向けのシステムの使い勝手を良くするため、徹底的なカスタマイズを行ったという。
創業者の佐藤氏は、創業間もなく「絵本を手に取る子どもたちのために何かをしたい」という思いで、愛読者カードを送ってきた子どもに、10歳になるまで毎年誕生日のカードを贈る事業を開始。今も毎年絵柄を変えたカードを1日に800通、すべて宛名を手書きして発送している。
このほか1年に3回、愛読者へのダイレクトメールを発送するほか、1年間毎月1冊の絵本を届ける「えほんクラブ」といった事業も手掛ける。こうした個人顧客管理もシステムの大切な役目だ。

導入時の新人が今も担当

廣木社長はカスタマイズによってシステムは使いやすくなっていると述べる。また、導入当初に携わった当時新人だった光和コンピューターの女性担当者が、今でも同社を担当していることに「とても助かっていて感謝しています」と話す。
ただ、カスタマイズについては「あまりにも手を入れたことで、何か修正するにも手がかかり、カスタマイズも良し悪しかと反省もあります」とも。

書店からも根強い人気

今年は「こぐまちゃん」シリーズの50周年を迎えた。これを記念し新刊として絵本とぬいぐるみをセットにした『しろくまちゃんのほっとけーき 夢のふくふくセット』(本体3400円)を発売し大きな反響を呼んだほか、春と夏には店頭フェアを展開している。
フェアにあたっては四季を感じさせるポスターや各種特典を用意。新型コロナウィルス感染拡大によって営業活動は制約を受けたが、「書店様からの根強い人気でご注文をいただくことができました」と田中保秀取締役営業部長。
廣木社長は毎日150通ほど届く愛読者カードを「これは我々にとっての宝物」と必ず読んでいる。これからもロングセラーを売り続けるスタイルは変わらなさそうだ。