1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. 出版システム
  5. 克誠堂出版株式会社医療出版のシステム導入システムに合わせて業務見直しも

事例紹介

Case

出版システム医学書出版

克誠堂出版株式会社
医療出版のシステム導入
システムに合わせて業務見直しも

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売・印税・原稿料管理)
克誠堂出版様(文化通信bBB 2015/9/28 掲載)

克誠堂出版株式会社

代表者 今井良
所在地 東京都文京区本郷3-23-5
電 話 03-3811-0995

 医書出版の克誠堂出版は、今年春に光和コンピューターの販売管理システムと印税・原稿料システムを導入した。医書は直取引など通常の出版社とは異なった販売方法をとっているが、システム導入コストを抑えるために極力カスタマイズをしないよう、業務を見直すなどの取リ組みを行ったという。

直取引と取次取引を併用

 医書出版の克誠堂出版は、今年春に光和コンピューターの販売管理システムと印税・原稿料システムを導入した。医書は直取引など通常の出版社とは異なった販売方法をとっているが、システム導入コストを抑えるために極力カスタマイズをしないよう、業務を見直すなどの取リ組みを行ったという。

 克誠堂出版は1914年創業の呼吸器、麻酔、形成外科を専門に出版物を刊行している医書出版社だ。書籍の新刊点数は年間20点前後、雑誌は『日本胸部臨床』『麻酔』『形成外科』を発行し、日本臨床検査医学会の機関誌『臨床病理』を販売受託している。

 医書出版社は書店との直接取引と取次経由という二つのルートを持っている。全国の都道府県には1軒程度の特約書店があり、そうした書店には医書出版社と医書専門書店が共同で設立した「㈱日本医書配送センター」から商品を配送し、同時に大手書店や一般書店へは取次ルートで商品を流通させている。

 克誠堂出版でもこの二つの販売方法を使っており、売り上げはほぼ半々で、最近は大手書店のシェアが上がってきたため、多少取次経由が多くなっているという。

カスタマイズでバージョンアップ難しく

 販売管理システムは、パソコン用の出版パッケージシステムを利用してきたが、医書特有の販売の仕方に合わせてかなりカスタマイズした。2013年の秋にそのパッケージがバージョンアップすることになったが、「カスタマイズが多かったため、ほとんど買い換えるような感じになりました」と営業部・青野幸浩課長は述べる。

 そんなときに、青野課長は同業他社から光和コンピューターが医書出版社への導入実績があるという話しを聞き、すぐに問い合わせた。

デモを見て即決

 2014年2月に最初のデモンストレーションをみた段階で、「これだと決めた」と青野課長。医書出版社に必要な機能が最初からかなり用意されており、そのまま使えると感じたからだ。

 それから3カ月にわたって週1回ほどのペースで打合せを重ねた。要件を伝えることもあったが、極力費用を抑えることを目指したため、むしろシステムに合わせて従来の仕事の仕方を変えていくことにも取り組んだ。

 その結果、販売管理システムについてはほとんどカスタマイズせずに導入できた。青野課長は「以前はこうしなければならないと思い込んでいた仕事もあり、かえって参考になることも多かった」と話す。

 例えば、年間の代金を先受けする雑誌の予約購読も、取次との取引では発生しないため、それまではカスタマイズして処理してきたが、書店に対して年間購読と他の商品の請求書を別に出すなどやり方を変えた。また、学会販売を行う書店に対する「出来高清算」も、通常の販売管理システムにはないものだが、これも今回はシステムに合わせて処理方法を変えたという。

日本医書配送センターとの連携は密に

 小口出荷用の在庫は本社ビル1階の倉庫で管理し、直取引書店向けや取次への大口出荷は日本医書配送センターが担当している。

 日本医書配送センターとシステム連携はしていないが、在庫のズレが生じないよう綿密に連絡を取合っている。出版社、書店が共同で設立しているセンターなので、「身内のようなもので、多少の無理もききます」と営業部・片山郁代さん。これはいち早く自ら物流を整備してきた医書業界ならではのことだ。

 ちなみに、直取引の書店は約50軒。こうした書店からFAXや電話で受けた注文は販売管理システムに入力し、納品伝票を発行して日本医書配送センターに送る。センターでは書店向けの納品伝票とともに商品を書店に配送する。返品は送料を書店が負担してセンターに送り、出版社はセンターから届いた返品伝票から数字をシステムに入力する。センターからは毎朝1回、出版社に便が出ており、小口用在庫や伝票のやりとりをしている。

 そして克誠堂出版は送品から返品を差し引いた金額を、月締めで書店に請求する。この請求は「どんなに規模が小さい取引先でも同じ手間がかかるので結構大変です」と片山さん。システム的には直取引書店を取次と見なしてそのまま販売管理システムを使っている。

印税・原稿料システムはマスタ整備に苦労

 一方、印税・原稿料管理システムの導入はデータの整備などに手間がかかったという。

 それまでも書籍の印税管理はシステム化していたが、雑誌の原稿料は各雑誌担当者で管理していた。総務部は年末の支払調書を作成する時期に、各雑誌の担当者から1年分の原稿料のデータをもらい、支払調書を作成するシステムに入力していた。

 しかし、同じ著者なのに雑誌と書籍でコードが違うといった問題が発生していた。そのため、印税と原稿料を一括して管理するシステムを導入するにあたって名寄せが必要となった。

 また、書誌マスタについても、旧システムからのデータコンバートに時間がかかった。「決算期の5月に帳票を出したら数字が違っていることに気付いてチェックしたりしました」と総務部・中里美紀さんは述べる。

 こうした手間はかかったが、販売管理システムは今年4月から本稼働を始め、印税・原稿料システムも今年年末の支払調書作成から本格的に力を発揮することになる。