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事例紹介

Case

書店システム

くまざわ書店
大手チェーン書店のPOSデータ活用
POSデータ開示で商品確保と返品減を目指す
出版社約150社がWebサービスに登録

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書店POSシステム 「書店POSシステム」
くまざわ書店 様 (文化通信bBB 2004/7/26掲載)

大手チェーン書店のPOSデータ活用
POSデータ開示で商品確保と返品減を目指す
「出版社約150社がWebサービスに登録」

 くまざわ書店クループは、本部と各店舗、出版社がWebサイトで同じ販売データを閲覧できる「Kuma book.net のPOS情報」を、2001年から運用している。04年7月15日には新たに返品データのメニューも加わり、秋にはリアルタイムでの情報更新にも着手するなど、機能アップに取り組んでいる。
 同社は「くまざわ書店」や「池田書店」などの店舗を全国展開するチェーン書店だが、90年代に出店を加速し、10年前30店ほどだった店舗を、04年7月現在で148店にまで拡大した。

カードで徹底した死に筋カット

 POSシステムの導入は1999年と、それほど早くはなかったが、それまでも徹底した単品管理で死に筋排除には力を注いできた。

 「書店は他の業種と違って、雑誌を除けば棚在庫が売り上げの9割を占めます。ですから、売れ筋の確保以上に死に筋のカットに重点を置いてきたのです」と熊沢宏常務取締役営業推進部長は話す。

 そのころは雑誌、文庫、コミックスを除く入荷商品全てに、月ごと12色に分けた独自の必備カードを入れて管理していた。

 担当者はカードの色で3ヶ月間動かない商品を判別し、新刊と入れ替える作業を行い、売れればカードに日付印を押して、スリップの注文カードを貼り付けて取次ぎのトーハンに発注していた。POSが入った現在でも、色分けによる死に筋チェックは続いている。

 「一般的な書店では、担当者個人のノウハウで行っているようですが、当社は出店が多くてノウハウを持つ従業員が少ない。この方法ならアルバイトでも死に筋を排除することができます」(熊沢常務)
 また、その頃までは、本部による一括発注はほとんど無く、注文は店舗に任されていたが、90年代後半の不況期に入ると、出版社が制作部数を絞り、売れ筋商品の確保が難しくなった。そうした流れのなかで売れ筋商品を確保することと、内部ロスを防ぐことを目的に、POSシステムの導入を決意した。

従業員のモチベーションを向上させる

 導入したのは光和コンピューターの単品管理システム「SUPER BOOK SHOP」。当時新規店だった蒲田店(大田区)と基幹店の八王子店(八王子市)、桜ヶ丘店(多摩市)から導入を開始。その後は新規店、そして改装などの機会を捉えて既存基幹店に入れる形で、5年間で46店舗とスローペースではあるが順次導入している。

 店舗は1日に1回、レジ清算後にデータを本部に送信。集計・分析の作業は、本部サーバーで行っている。

 店舗では分析データをインターネットを通して確認できる。3年前、本部にWebサーバーを設置、各店舗はホームページでID、パスワードを入力すれば、通常のWebブラウザで自店と他店の販売実績を閲覧できる。「自分の店と他店や全店のデータを比べることで、従業員の売れ筋確保に熱が入る」(熊沢常務)ことを期待してのことだ。

各店担当者が売れ筋を確認できる

 同社店舗はほとんどSC内の立地だが、都心から地方の郊外SCまで多彩な客層を対象とし、規模も25~460坪と幅広い。店ごとに売れ筋を把握し、調達する必要がある。

 POSシステムを導入する前は、各店にパソコンを1台ずつ入れて、主要店舗で選定した売れ筋で入荷しにくい商品について、各店の入荷数と販売数を集計するアンケートを行い、本部で発注するようにした。

 「店単位で発注しても入ってこない商品が、本部のアンケートに答えれば入るようになって、担当者は積極的に陳列し、POSを付けるようになりました。そしてそのことがまわりにも伝わり、全体のモチベーションを上げる結果になりました」(熊沢常務)。

 この集計作業も、今はPOSデータで行っており、その結果は、各店の担当者が店舗のパソコンで確認することもできるようになった。スターと時点で閲覧できるようにしたメニューは、「ジャンル別ベスト」、「単品販売データ」、「出版社別ベスト」、「店別出版社別ベスト」、「店別分野別売上月報」、そして出版社が重版情報などを書き込める「コメント一覧」の6つ。全店のベストのなかで、自店に在庫がない商品は赤く表示されるといった方法で、各店の担当者が売れ筋を確認できる。

出版社にも情報開示

 また、このWebサイトは、出版社にも無償で公開している。登録すれば自社商品の販売動向を単店、単品で確認できる。現在、ID、パスワードを発行している出版社は約150社にのぼるという。

 04年秋には本部と店舗間の通信をブロードバンドにして、販売動向がリアルタイムに反映されるようになった。

返品データも開示

 04年7月15日からは、メニューとして「返品期限表」と「返品率表」が加わった。

 「返品期限表」は、雑誌なら返品期限の商品、書籍の場合は一定期間内に販売も入荷もない商品のリストを表示する。「返品率表」は分野別、出版社別に表示する。

 こうしたデータは出版社が閲覧することもできるが、店舗の返品率を下げることが最大の目的。「トーハンの桶川構想のように、これからは注文品の返品に対してこれまで以上に厳しくなる」(熊沢常務)という将来への見通しがあるためだ。