リブレ出版株式会社
マスタの一元管理で全部署が情報を共有
リブレ出版 個別商品の損益確認も
「出版ERP」システム 「Publishing ERP」
リブレ出版株式会社 様 (文化通信bBB 2008/3/24掲載)
リブレ出版株式会社
本 社 | 東京都新宿区神楽坂6-46 |
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事業内容 | 出版、企画編集、ソフト制作企画販売、出版関連企画、著作権管理、インターネット関連企画、各種商品企画開発 |
設 立 | 2006年5月8日 |
資本金 | 5000万円 |
代 表 | 代表取締役社長 岩越孝夫 |
従業員 | 38名 |
BLジャンルのトップブランド「BE-BOY」で知られるリブレ出版は、06年の5月に創業したが、同年の8月から光和コンピューターのERPシステムの導入を開始した。データベースの一元化を実現し、取次・直販の販売管理や支払業務を連動させた収益シミュレーションや損益管理まで一貫したシステムを運用している。
既に稼動点数360点、雑誌4誌発行
同社は06年4月に破綻したビブロスから「BE-BOY」ブランドを引き継ぐ形で創業したが、もともとこのジャンルでトップシェアを誇ってきたブランドだけに、当初から雑誌の発行と毎月10~15点のコミックス、ノベルスの新刊、そしてビブロス時代の出版物を新装判として毎月5~10点程度というかなりのハイペースで事業を拡大してきた。
そのため「当初からアイテムが多かったので、早い時期にシステムを導入する必要があった」と営業部・斉藤奨部長は話す。
現在では単行本の稼動点数が約360点、定期雑誌3誌、増刊コードによる不定期誌1誌を発行。このほかドラマCDや関連グッズなども販売している。
電子版の印税支払いも準備
「支払い管理」では、印税や製作費など直原価を管理している。これは印刷費などの請求データを入力したり、原稿料や印税といった源泉徴収が必要な支払い処理と支払調書の自動出力などを行う一般的なシステムだが、最近はケータイやパソコンでのコミック・ノベルスのダウンロード販売が増加していることから、コンテンツプロバイダごとに特殊な計算が必要な電子版の印税支払いへの対応も準備しているという。
特化した市場で納品返品管理
同社が導入したシステムは、まず取次ルートの納品・返品、ドラマCDやグッズの専門卸や小売店への出荷・請求の管理を行う「取次・直販管理」。物流は倉庫業者の大村紙業に委託しているため、在庫管理は同社のWebシステムで行っているが、納品・返品は毎日送られてくるメールからシステムに取り込んでいる。
このデータから商品・取次別の出荷・返品を見られる帳票を出すようにカスタマイズし、重版や新刊の製作部数を決めているという。
総合出版社などでは、広範な書店からPOSデータを集めて新刊部数決定や重版計画に活かすところが多いが、同社の場合、刊行ジャンルが特化しており、販売拠点をある程度絞り込むことができるため、取次別の納返品実績と、約100店の調査店の販売データやWebで公開している書店のPOSデータなどを参考にすることで対応できているという。
損益のシミュレーションも可能に
そして同社が導入したシステムで特徴的なのは「製作シミュレーション」だ。印刷会社、用紙、デザイン、外注、原稿料などの要素を設定すると、定価と製作部数別に原価や粗利益を確認できるというもの。原価意識が高かった現場からの要請で導入したというが、光和コンピューターとしても初めて開発したシステムだという。
そして、刊行後に損益を自動計算する「損益管理」を使って委託精算が終わる6ヶ月目に、個別商品の損益を確認する。この数字を担当者の評価や同じ作家の作品を作る場合の参考にしているというが、単品での分析のほかに、編集者や編集部単位での管理もできる。
効率の向上とマスタの一元化が大きなメリット
システム導入の効果について斉藤部長は「もともと少人数でスタートしたので、いかに効率良く業務を行い、できるだけ無駄を省きたいと考えて導入しましたが、以前に比べて作業時間が短縮され、人件費を削減できて、作業効率がよくなりました。そのおかげで以前はできなかったこともいろいろできるようになりました」と話す。
さらに、書誌や著者、取引先などのマスタを一元管理することで、どの部署でも同じ情報を共有できるようになったことも大きなメリットだという。
取材、価格、部数から最終利益を予測するシミュレーション