毎日コミュニケーションズ
作業の効率化と正確性、
戦略的販売のため新システムを導入
出版ERPシステム《戦略的販売システム》
株式会社 毎日コミュニケーションズ 様
(文化通信bBB 2009/3/2 掲載)
株式会社 毎日コミュニケーションズ
本 社 | 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 |
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代表者 | 代表取締役社長 中川信行 |
設 立 | 1973年8月15日 |
社員数 | 約1,500名 グループ全体社員数約1,700名 (2009年1月1日現在) |
資本金 | 20億6882万円 |
毎日コミュニケーションズは昨年、出版部門の物流と基幹・販売システムを刷新した。物流と販売、経理業務の連動や作業効率の向上、そして市場環境の厳しさにも対応できるシステムを目指したという。
オフコンからクライアントサーバーに
同社は就職情報サービスや出版事業を手掛けており、年商は480億円(08年9月期)、社員は約1500人。このうち出版部門は127人で、『PCfan』など雑誌5誌と、書籍を年間約360点刊行している。
新システムの導入を検討し始めたのは07年の春。それまで納品、返品管理に利用していたオフコンベースのシステムで管理できる伝票番号の桁数が一杯になり、領域を拡大する必要が生じたことがきっかけだった。
「オフコンのシステムで改修しようかとも考えましたが、コストがかかる割にパフォーマンスが向上しないことが分かり、カスタマイズして使い続けるのか、新しいシステムを導入するのかを考えました」と経理部部門経理2課・岡田博行課長は当時の状況を説明する。
その結果、「ドットプリンターで複写用紙に印字するようなことを今後長くは続けられないし、いずれにしてもオフコンは融通が利かない」(岡田課長)ということから、クライアントサーバーシステムへの切り替えを決断した。
物流から販売、経理まで一貫したシステム
新システムに期待したことは、まず作業効率の向上と販売データの活用だった。
作業の効率化では「物流の流れと経理の流れが連動して欲しかった」という希望があり、販売部門からは「どこからどういう注文が来ているのか知らなければ戦略が立てられないという要望もありました」(岡田課長)という。そこで入出庫の物流管理から販売分析まで一貫した処理を目指した。
そのため、02年に設立した関連会社で同社の物流を担っている毎日ビジネスサポートの担当者を中心にシステム会社の選定を行い、最終的に残った3社について、経理部門と販売部門も加わって検討。その結果、基幹システムを提供する光和コンピューターと、物流システムを提供する主婦の友図書の共同提案を採用した。
経験、ノウハウの豊富さが決め手に
採用の理由について岡田課長は「経験の豊富さでした。システム自体はシステムエンジニアのクオリティーが高ければできますが、出版業界の独特な内情に精通していた両社は、我々からの要求に対してレスポンスのクオリティーもスピードも高かった」という。
導入したシステムは、主婦の友図書の物流管理システム、光和コンピューターの販売管理システム、定期購読管理システム、書店情報管理システム。
毎日ビジネスサポートにデータベースサーバーを置き、書店などからの受注業務、取次への出荷・返品業務、定期購読管理を実施。書店受注では電話番号から相手を特定するCTI(Computer Telephony Integration)も導入した。
こことマイコミ本社の販売部門、経理部門、そしてやはり関連会社の東京地図出版とをVPN(Virtual Private Network =公衆回線を専用回線のように利用できるサービス)で結んで、物流と各社の基幹業務の連携を行った。
重複作業のミスを防ぎ、戦略的販売で納品も増加
これにより、納品データを経理部門で取り込んで、すぐに加工していろいろな計算に使うことも容易になった。旧システムでは帳票で出力したデータを電卓で手計算して引当金などを算出していたので、今回の移行で重複作業でのミスを防ぐことができるようになったという。
販売部門では、取次での納品・返品データと、書店からの受注データ、書店の販売データ(Pネット)を各自がスピーディかつ簡単に加工できるようになった。「自分たちで加工することで、どの書店でどういう商品が売れているのかなど、書店戦略を練る時間を多くとれるようになったので『売り込むコンセプトを持って営業に臨めるため納品も増えている』という反応があります」(岡田課長)という。
収益厳しい時代に、より詳細で柔軟な管理
また、在庫管理はリアルタイム化を実現した。「収益が厳しい時期なので、品切れ予測を立てて適正に重版したり、書店から在庫のない商品の注文があったときに、断るのか返品待ちで保留するのかなど、細かく管理する必要があり、在庫管理もシビアになっている」(同)ためだ。
定期購読についても、岡田課長は「1号サービスする場合、経理的には1年で13回送るのか、1ヶ月分を無料にするのかといった仕分けの問題がありますから、そこはいろいろなケースを想定してカスタマイズしてもらいました」という。
これも、景気が悪化する中で、きめ細かい販売促進の必要に迫られている販売部門から、多様な手段の提案があるためだ。ここでも光和コンピューターが持つさまざまな事例の経験が役に立ったという。
請求書も早くきれいに
経理部門での効果について岡田課長は、「データをCSV形式にして加工しやすくなったので、請求書類の作成が簡便になり、請求書自体もきれいになった」と話す。
以前は請求書、郵便の振込用紙、封筒の宛名などを全てバラバラに印刷し、封入作業を行っていたが、今はA4の用紙1枚に請求書と振込用紙が入り、折ると窓付封筒に宛名が合うスタイルで印刷できるようになり、正確性をそこなうことなく短時間で事務量を減らすことができた。「このあたりのパフォーマンスには満足しています」(岡田課長)とのことだ。
システム導入に当って岡田課長が注意したことは、従来の業務の流れを極力変えないことだった。「システムを入れ替えるにしても、VANで毎日、取次からの発注が来ていますから物流を止めるわけにはいきません。ですから影響を最小限に抑える必要があったから」。その結果、導入以来、大きなトラブルもなく運用できているという。