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事例紹介

Case

出版システム総合出版

マイナビ出版
POD、電子書籍事業拡大に
システム強化で対応

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売・印税・POD、電子書籍)
マイナビ出版様(文化通信bBB 2017/1/30 掲載)

㈱マイナビ出版

設 立 2015年10月1日
所在地 東京都千代田区一ツ橋2-6-3
代表者 滝口直樹
資本金 5000万円
従業員 約90人(2015年10月時点)

 マイナビ出版は2007年から光和コンピューターの販売管理システムを利用してきたが、2015年に物流の委託先を変更するのに伴ってシステムをリプレースし、新商材や、直販など多様な受注方法に対応するため機能強化を続けることで、書籍、雑誌から電子書籍、POD(プリント・オンデマンド)の販売まで一貫して管理できる体制を整えている。

書籍・雑誌からPOD、読み放題まで展開

 同社は2015年に㈱マイナビ(旧毎日コミュニケーションズ)の出版事業本部が分社して設立された。現在、『MacFan』『Web Designing』『将棋世界』など発売元を引き受けているものも含めて雑誌7誌を発行し、コンピューター、将棋、女性実用、文庫、新書などの分野で書籍を年間約300点刊行している。

 さらに、近年は雑誌、書籍に加え、PODシリーズ「プレミアムブックス」や底本のないオリジナル電子書籍、就職対策書籍の定額読み放題サービスなど、幅広い出版活動を展開している。

マーケティングでの利用目指して

 2007年のシステム導入は、それまで利用していたオフコンシステムからの移行だった。このときの課題は、専任担当者がいないと扱えなかったり、改修のたびに費用がかかったりする問題点を解消することと、コード管理体系の変更、書店別に販売・受注を管理することの三つだった。

 「なによりもデータをマーケティングに使えなかったので、光和コンピューターのクライアントサーバーシステムに切り替えました」と滝口直樹社長。その結果「将来性を考えて導入を決めましたが、今に至るまでの拡張の可能性を手に入れることができました」と評価している。

倉庫業者に物流、POD、e託

 そして、2015年4月に、物流委託先をそれまでの自社グループから大村紙業に変更したことに伴い、倉庫連携を含めたシステムのリプレースを実施。

 近年、取次システムが軋み、従来型の販売方法が行き詰まりを見せるなか、新たな商材や販売・受注方法を模索する同社は、「システムを攻めの営業ツールとして使えるように機能強化を図ってきました」と滝口社長は述べる。

 商品の入出庫や在庫管理などは、大村紙業が提供するウェブサービス「OS-Web」と連携し、入出庫と同時にデータを販売管理システムに取り込み、自動的に請求業務などを行うことが可能になった。

 さらに、大村紙業には取次への入出庫業務に加え、ウェブ直販の出荷、アマゾン「e託販売」の出庫業務、PODの制作なども委託。こうした多様な受注も全て販売管理システムに取り込むことができるようになっている。事業推進部ネット運営課・小林洋一課長は「これらが自動的に連携できることが重要でした」と述べる。

PODは「バカにならないビジネス」に

 同社のPODサービスは、2015年に開始したが、毎月新タイトルをリリースし、50点程になっている。比較的高額な商品が中心だが、コンピューター書や将棋の本が好調で、ウェブでの直接受注のほかに、希望する書店には買い切り契約で提供。「既に電子書籍に次いでバカにならないビジネスになっています」と滝口社長は述べる。

 また、PODの仕組みを利用して2016年夏からはA5判の月刊誌『将棋世界』をA4判で提供するワイド版の販売も開始、「オンデマンドとしてはヒット商品」(販売部長・小河原基取締役)と一定の需要があるという。

 こうしたビジネスが可能になるのは、同社が雑誌・書籍の販売サイト「マイナビBOOKS」、コンピューター書の電子書籍ストア「マナティ」、ファッション、インテリア、料理レシピなどの電子書籍を販売する「くらしの本棚」、将棋の情報販売サイト「マイナビ将棋情報局」といった直販サイトを自社で運営し、「ロイヤリティーの高い顧客リストを持っている」(小林課長)という背景がある。

オリジナル電子書籍で”紙”のストレス解消

 一方、電子書籍にも力を入れている。紙書籍の電子版のほかにオリジナル電子書籍も多数販売している。原稿の分量が少なかったり、需要が少ないなどの理由で紙版では刊行できなかった企画など、年間100~200点発行している。

 「紙の書籍にできなかった企画を全て実現できる。リスクもほとんどないので、電子版ならうまくいくことも多い。いままで紙だけだと感じていたストレスを克服できます」と滝口社長は電子書籍の効用を強調する。

 そして「dマガジン」や「Kindleアンリミテッド」で注目される定額読み放題サービスも自社で運営する。テーマは同社が得意とする就職情報の「就活BOOK読み放題」だ。2015年から就職シーズンに開設しており、2017年版では14種類の就活ブックが月1400円で読み放題になる。

 マイナビグループの強味が生きて「初年度から良い反応があり、2年目も利用が増えました。これからビジネスとして面白いと考えています」とコンテンツ・ライツ推進部・出町浩一郎部長は手応えを語る。

電子書籍の印税管理も導入

 2016年には紙と電子書籍の総合的な印税管理システムも導入した。それまで担当者が手作業で入力していた各電子書店から来る電子書籍の販売報告は、時期も様式もバラバラなため、電子書籍ビジネスが成長する中で、手作業では対応できなくなったからだ。

 システム導入によって、電子書店から来るCSVやExcel形式の販売報告をシステムに読み込むことができるようになり、蓄積したデータを会計システム用に一括して出力することが可能になった。

 「電子書籍の印税計算は、販売価格が変わったりして紙版より遙かに複雑になりかねません。ですからシステムの対応が大事になります」と事業推進部・上条幸一部長。電子書籍の売り上げが増加する中で、必要な対応だったという。

 滝口社長は、こうした商材や販売方法の多様化について、「読者への直販、電子書籍、PODなどは返品がないチャンネル。10年前と比べると、出版社にとってこうしたチャンネルの重要性は高まっています。システムもそれを前提に考えていく必要があります」と述べる。