マキノ出版
物流委託で生協ルート
出荷に対応
出版ERPシステム
(販売管理システム)
マキノ出版様(文化通信bBB 2016/7/25 掲載)
株式会社マキノ出版
設 立 | 1977年10月21日 |
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住 所 | 〒113-8560 東京都文京区湯島2-31-8 |
電 話 | 03-3813-8603 |
FAX | 03-3813-1714 |
代表者 | 室橋一彦 |
健康実用分野で雑誌や書籍、ムックを刊行するマキノ出版は、光和コンピューターの販売管理システムを利用しているが、今年から物流業務を全面的に外部の倉庫業者に委託したことから、委託先とのシステム連携がこれからの課題だという。
『壮快』は創刊42周年に
同社は講談社で『週刊少年マガジン』や『少女フレンド』の創刊編集長を歴任した故・牧野武朗氏が、健康雑誌を創刊するため1974年に講談社との共同出資により㈱マイヘルス社を創立、月刊誌『壮快』を創刊したのがスタート。その後、1977年に㈱マキノ出版を設立した。
現在は、今年8月16日発売の10月号で創刊42周年を迎える看板雑誌『壮快』をはじめとして、健康雑誌の『安心』、『ゆほびか』、情報誌『特選街』の月刊誌4誌を中心に、年間に書籍を約30点、ムックを約40点刊行している。
90年代半ばから拡大してきたという書籍、ムックも、最近では2015年1月に刊行した『「酢タマネギ」でやせる!病気が治る!』(本体750円)が14刷32万5000部。今年4月に刊行した『レモン酢でやせる!病気が治る!』(本体750円)が既に6刷7万部に達するなどヒット作が続いている。
また、書籍でも広川雅之『下肢静脈瘤は自分で治せる』(本体1300円)が生協ルートでロングセラーとなり、半年近くで9刷5万2000部を販売している。
光和コンピューターのサポートを評価
光和コンピューターの販売管理システムを導入したのは10年ほど前になる。かつて他社のオフコンシステムを利用していたが、当時「集計したデータを出力するのに何時間もかかるなど、使い勝手が悪かった」と販売部・長坂みか副部長は振り返る。そのため、新たなシステムを導入することになった。
このとき、複数社のシステムを検討したが、「当社は雑誌の定期購読が多いのですが、当時、ほとんどのシステムで定期購読はオプションでした。「そんな中で光和コンピューターはカスタマイズで対応することができたのです」と同・伊藤達雄部長は選定した理由を説明する。
導入には時間をかけた。画面の構成、操作方法など、丹念に詰めていったからだ。これは、以前の仕事で、システムは使い勝手が重要だと痛感していた長坂副部長の思いもあって、「画面やマウスでの操作方法など、一つ一つ自分たちが使いやすいように時間をかけてカスタマイズしてもらいました」からだ。
また、稼働後もしばらくは細かい修正を続けた。長坂副部長が以前の職場で使っていた大手メーカーのシステムは、遠隔サポートのみの対応だっため、やり取りに時間がかかったという経験があったが、このときの光和コンピューターの担当は、何かあればすぐに来てくれたという。
「トラブルが発生すると作業が止まってしまいます。すぐに来てもらえるので心強かった。そうやって対応してくれる人がいるかどうかが大きい。そのことで評価は高いです」と長坂副部長は話す。
次の課題は物流連携
システムは、端末が在庫や入出荷を管理する販売部に7台、取次営業や書店販促を担当する営部に6台、総務・経理部に4台の計17台で利用している。営業部では書店別の販売履歴をみるなど営業戦略を立てるための基礎データとして活用している。
販売部では、電話やFAX、はがきなどで書店や個人から受けた注文を、1日に1回、17時半の締めで短冊形に印字して、宅配便で物流業務を委託している出版倉庫業者に発送する。委託倉庫では短冊を翌朝受け取って、ピッキングなど出荷準備を行い、その翌日に出荷している。
実はマキノ出版は、長年、自社ビル地下で在庫を管理し、出庫作業も行ってきたが、今年春、物流業務を完全に委託倉庫に移行した。
「書籍ムックが増え始めた90年代中盤から外部への物流委託をはじめ、このほど全面委託することになりました」と伊藤部長。そのため、これからのシステム面での課題は委託倉庫とのシステム連携だという。
生協の販売で仮押さえが発生
今は委託倉庫側で在庫を管理しているため、マキノ出版側では入出庫数から理論在庫数を推測することになる。そのため、急に大きな受注があったりすると、委託倉庫に電話などで直接在庫数を確認しなければならない。
同社の書籍、ムックは生活協同組合がカタログに掲載する商品として採用されることが多く、一定のロットで生協への直接販売が発生する。そのため、将来的にいくつかの生協のカタログに掲載される商品の在庫を、数カ月単位の期間で確保しておく必要がある。
「例え在庫が3000冊あったとしても、伝票化していない仮押さえの状態で、今月中に500冊、半月後に500冊使うことになっているといったことがあり、当社側で一括管理できていません」と伊藤部長は述べる。
生協は、納品の時期や数量に厳しく、カタログ掲載の対象になった商品は予想販売数の1.5倍を取り置く必要があるという。委託倉庫ではマキノ出版のために専任担当者がついて、こうした在庫の動きを管理している。
また、アマゾンには取次経由での納品とともに、全商品を「e託販売」でも出荷しており、「多い日には1000冊、コンスタントに1日300~400冊は出荷しています」(長坂副部長)といい、こちらの動きもデータからだけでは見えにくいという。
そのため、今後は委託倉庫とのシステム連携によって、「委託倉庫と当社で同じデータを確認できるようになることを期待しています」と伊藤部長。また、受注した情報をマキノ出版と委託倉庫の両方で入力しているといった重複作業の削減も可能になるとみている。