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事例紹介

Case

出版システム

NewsPicksパブリッシング
ていねいな本作りを支えるシステム化 クラウドでリモート体制も実現

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出版システム
NewsPicksパブリッシング
(文化通信 2023/6/27 掲載)

 

右から岡元さん、中野さん、鈴木さん

 

高く評価された書籍と、6月末発売予定の新刊『キャリアづくりの教科書』

株式会社ニューズピックス/NewsPicks, Inc.

創 業 2015年4月1日
代表者 稲垣裕介/佐久間衡
所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビル

※2023年7月1日付でニューズピックスは株式会社ユーザベースと法人統合する。

ソーシャル経済メディア「NewsPicks」を運営する株式会社ニューズピックスの出版事業部門であるNewsPicks パブリッシングは、販売管理や印税管理などに光和コンピューターの「出版ERP」を導入。クラウド化も実現し、1 冊1 冊時間をかけていねいに「作り」「売る」本作りを支える体制を整えている。

「答えではなく問いを立てる」本作り

NewsPicks パブリッシングは2019 年10 月にスタート。これまで25 点の書籍を刊行してきた。
人員は井上慎平編集長を中心に他事業との兼務者1 人、新人1 人を含めた編集者3.5 人と営業2 人、間接部門1 人の6.5 人。
この体制で年間約7 タイトルは少なく見えるが、「当社は『大人に、新しい「問い」を。』をコンセプトに、答えではなく問いを立てる本作りをしているので、1 冊ずつ意思を持って時間をかけた本作りをしています。営業もしっかりと事前にゲラを読んで、どんな人に届くのか仮説を立てて販促するなど、1 冊ずつていねいに売っています」と営業・プロモーションマネージャーの岡元小夜氏は自社の刊行姿勢を説明する。
営業方法は書店訪店やFAX によるチラシ送付など一般的だが、「書店には編集者の思いや、その時期に出す意義などをじっくり伝えて仕入れてもらいます。書店は最初の読者でもあるので、ファンになってもらえればと思っています」と岡元さん。
当初から書籍の背をオレンジ色で統一し、レーベルの一体感を出してきたが、コーナーを作る書店も現れ、その思いは着実に浸透しているようだ。
こうした本作りによって、創刊ラインナップの宇田川元一著『他者と働く』は累計7 万部で「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞を受賞。2020 年2 月刊の安宅和人著『シン・ニホン』は15 刷17 万5000 部を超え、「読者が選ぶ ビジネス書グランプリ2021」総合グランプリ受賞。同年3 月刊の近内悠太著『世界は贈与でできている』は第29 回山本七平賞奨励賞受賞。同年12 月刊のピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー著/土方奈美訳『2030 年』は14 刷15 万部に達するなど、高い評価を得る書籍も複数出ている。

システム化で作業時間・ミスが軽減

販売管理などは当初、Excel で行っていたが、経理を担う親会社の会計基準に合わせるため、取次ごと、銘柄別に毎月返品資産管理が必要になるなど、通常の出版社に比べて細かい計上が求められた。また、印税計算も、紙版と電子版に加えて、当初はNewsPicks の会員向けにサブスクリプションで書籍を提供するサービスもあり、1 つのタイトルに複数の印税計算が必要だった。
このため、企画管理担当の中野薫さんは「タイトルが増えてくるとExcel の管理では手間と時間がかかり、ミスも発生するようになってくるので、早いうちにシステム導入を検討しました」と話す。
20 年8 月頃にシステム導入の検討を本格化させ、システム会社3 社を比較検討し、出版システムに特化している光和コンピューターを選択。同年12 月に契約し、2 年後の22 年10 月に本稼働に至った。
システム構築に当たっては、部門が費用負担して書籍を提供するケースに対応するなどカスタマイズが必要だった。そのため、打ち合わせにかなりの回数を重ねるなど、コミュニケーションに時間をかけた。また、事業開始から時間が経っていなかったこともあり、システム化に当たって、それまでの作業フローが最適なのか見直しも行った。
稼働後は、「何時間もかけて処理していた作業が、データを取り込めばすぐに処理できるようになったので大幅に時間が削減されました」(中野さん)。また、Excelで管理していた時は集計作業が属人化してしまっていたが、作業が標準化されたことで、バックアップ体制を取りやすくなるという効果もあった。
親会社でパブリッシングの経理を担当するNewsPicks Accounting Teamチームリーダーの鈴木淳史氏も「出てくるデータを取り込めばよくなり、作業時間が短縮されたことで、月締めの限られた時間の中で、検証に時間をかけることが可能になりました」と評価する。
また、同社はもともと仕事がリモート中心だったので、リモートで複数の担当者が使えることも前提だったため、データをAWS に置くクラウド化も実施。VPN接続すればどこからでも入って作業ができる体制も構築した。