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事例紹介

Case

出版システム

パン屋の本屋
地域住民の“顔が見える”街の本屋の品揃え

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出版システム
パン屋の本屋
(文化通信 2025/5/27 掲載)

パン屋と中庭を挟んで本屋(奥)がある

「紙の本になじみのない人も多いのでできるだけ表紙を見せたい」という思いで面陳を多くする

「K-POS ミニ」と決済端末によるコンパクトなレジコーナー

近藤店長

パン屋の本屋

店 長 近藤裕子
営業時間 10:00~17:00(月曜定休、月曜日祝日の場合翌平日休み)
所在地 〒116-0013 東京都荒川区西日暮里2-6-7
電 話 03-6806-6444
Webサイト http://higurashi-garden.co.jp/#book

東京の日暮里でパン屋と併設で営業する「パン屋の本屋」は、普段使いの書店として近隣に住む若い家族連れなどが多く来店する。12坪の店内には店主が1冊1冊選んだ書籍や雑誌が並び、パンに関するイベントなども開催して人気を集めている。

 同店は、パンの製造販売とカフェを運営する「ひぐらしベーカリー」と同じ敷地に中庭を挟んで立地する。この地で大正時代からフェルト生地を製造販売してきた事業者が、工場跡地で地域の人々に役立つ事業を始めようと、2016年にパン屋と本屋からなる小規模な商業施設「ひぐらしガーデン」をオープンした。
現在、本屋の店長を務める近藤裕子さんは、井上書店(東京都昭島市)で書店員をしていたが、店舗の縮小に伴い、8年ほど前に公募でこの店の店長に就任した。

返品率「今年は一桁目指す」

品揃えは児童書が店舗の半分近くを占めている。近隣ではマンションの新築も多く、子どもが増えている地域。すぐ近くに小学校もあり、平日は親子連れが目立つ。そのため、母親と子どもに向けた商品が多いのだ。
ただ、品揃えに偏りはない。「オーナーも、街の書店で育った私も、地域の人が日常使いできる街の本屋を目指しています。おしゃれなセレクトショップにするつもりはありません」と近藤さん。それでも棚を見ると、単行本や文庫、新書などの判型は混在し、文芸、人文、実用、ビジネス、コミックなどいろいろなジャンルが一緒に並んでいて、吟味して揃えていることが見て取れる。
在庫は点数で4000点、冊数で4500冊というように、複数並ぶ本はほとんどない。「お客様の多くは地域の人なので、それぞれのお顔が浮かぶような品揃えを心がけている」からだ。
そのため、取引取次トーハンから見計らい配本は受けず、新刊を含めたすべての商品を発注して揃える。この結果、返品率は10~11%にとどまるが、近藤さんは「一桁台にするのが今年の目標です」と強気だ。
以前仕事をしていた書店の返品率は30~40%と一般的な水準だったが、「返品は本がかわいそうですし、運んでもらう流通を考えると忍びない」と感じていたという。もちろん、書店員の作業負荷を減らすことも大切なことだ。

「K-POS ミニ」を導入

近藤さんが店長に就任した当時は手打ちレジで、在庫は手書きで管理していた。しかし、小規模とはいっても作業が煩雑だったため、4年前に光和コンピューターの小型POSシステム「K-POSミニ」を導入した。
以前いた書店が同社のPOSを利用していたことと、何よりも導入コストが安かったことが決め手になった。
今は取次からの納品・返品データを「K-POSミニ」に取り込んで単品管理しており、図書カードやクレジットカード、QR決済、IC決済などはそれぞれ端末を入れて対応している。「当店の売上、客数の規模で統合システムは大きすぎます。K-POSミニがちょうど良いサイズ」と近藤さん。発注はトーハンの「TONETS V」や「enCONTACT」、出版社共同受注サイトなどを利用している。

本に登場するパン作りも

経営的にはパン屋との併設によって成り立っているというが、パン屋目当てで来店する人がいる一方で、本屋に来店してカフェでくつろぐ人もいるなど相乗効果は大きい。
また、中庭を利用したおはなし会などイベントを開催したり、本に登場するパンや飲料のサービスや、登場するキャラクターをパンで再現するといった取り組みも人気企画として定着している。この場合は近藤さんが窓口となる。「出版社や著者と交渉する仕事は増えていますが、これを目的に来店する人も多い。複合しているからできることです」と前向きだ。
いまは店長と週1 日のパート従業員2人で店を回しているため、基本的に近藤さんのワンオペだ。月曜日定休で、営業時間は10時から17時。ただ、いまはパン屋に合わせて8時に店を開ける。すると来店客もあり、朝が早くて夕方には終わるサイクルにも慣れたという。