1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. 出版システム
  5. 成文堂法律・経済専門出版と書店も展開シンプルなシステムを長期間活用

事例紹介

Case

出版システム専門書出版

成文堂
法律・経済専門出版と書店も展開
シンプルなシステムを長期間活用

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売管理・在庫管理・請求業務・採用管理)
成文堂 様(文化通信bBB 2012/12/24 掲載)

 法律・経済書を専門に刊行する成文堂は、1990年に光和コンピューターのシステムを導入して以来、更新しながら現在でも利用している。大学での教科書採用が多いという特徴に対応したシンプルなシステムだからこそ、長年活用できているという。

株式会社 成文堂

代表者 阿部耕一
資本金 1000万円
社員数 30名
創 業 1947年
会社設立 1960年
本社・出版部 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町514
電 話 03-3203-9201

出版部と書店部で経営

 同社は1947年に早稲田大学正門前で書店を開業して創業したが、その後、1957年に出版活動を開始し、法律・経済の専門書籍を中心に刊行してきた。書店と出版活動を両輪にして、経営のバランスをとるという理念で事業を継続している。

 現在、社員数は書店部と出版部をあわせて30人。このうち出版部は12人で、年間の刊行点数は130点、在庫アイテム点数は2350点。書店部の店舗は110坪の早稲田駅前店を筆頭に、フランチャイズ店を含めて東京都、神奈川県、愛知県で10店舗を営業している。

1990年にシステムを導入

 出版部がシステム導入したのは22年ほど前になるが、当時は、まだこの規模の出版社で本格的な基幹システムを導入しているケースは少なかった。当時、システム導入に携わった経理部・渡辺昭蔵取締役は、「当社の刊行点数は当時でも1000点を越えていましたが、その頃の出版社向けパッケージは管理できる点数が制限されており、融通が利かないものがほとんどでした」と振り返る。

 そんな中、光和コンピューター・柴崎和博社長の誘いで参加した出版システムの事例研究会で聞いた他社の話などから、オリジナルのシステムを導入することを決断。そして、導入したのは、販売管理、在庫管理、取次への請求業務というシンプルな構成だった。

棚卸評価減・採用管理システムも開発

 このとき、経理を担当していた渡辺取締役としては、当時はあまりみられなかった在庫の棚卸評価減の自動計算を行うシステムを構築することを依頼。それまで決算の時にアイテムごとに半年間の売上比率を出して、それぞれ評価率を計算する作業に1週間ほどかけて行っていたのが、システム化により瞬時に計算できるようになった。

 また、同社の刊行物は大学の教科書として採用されるケースが多く、売上高の3分の1ほどは採用市場だ。このため、販売管理に採用管理のシステムも開発して組み入れた。

 このシステムは、各アイテムごとに、どの学校で、どの教員が採用したのかを記録している。この採用のデータは、書名別、大学別、教員別に管理されているため、大学への営業活動や、編集者が大学を訪問する際には有効なツールになる。

 さらに、著者の教員には採用状況をプリントアウトして送っているという。そうすることで、著者が採用した教員にあいさつするなどコミュニケーションが生まれ、これが採用の販売促進にもつながるとのことだ。

 採用データの収集は、大学生協店舗や大学に入っている書店は当然として、もし発注時に付加されていない場合はあとから問い合わせて集めている。そうして「20冊以上の採用なら必ずデータを入れています」と営業部・松野清司課長は話す。

同じ構成でPCシステムに移行

 このときに開発・導入した販売管理、在庫管理、請求業務、採用管理、在庫評価管理のシステムは、その後、2004年にパソコンによるクライアントサーバーシステムに移行しながらも、基本的には当時の構成のままで使い続けている。渡辺取締役は「90年の導入時にオリジナルのシステムを作ったことがその後にも生きた」と述べる。

 また、オフコンからパソコンベースのシステムに切り替えたことで、処理の速度が速くなり、各自の端末で在庫確認などデータを活用することができるようになり、作業効率が向上したという。

ネット販売が増加

 書店部のシステムは取引取次の日本出版販売が提供する書店システムを利用しているが、出版部と書店部が展開するインターネットでの通販サイトは光和コンピューターが2000年に構築した。

 このネット販売は、法律書に特化したサイトで、自社出版物と書店に入荷する法律書を販売している。「当初は広告・宣伝という位置づけで、これ自体での売上はそれほど期待していませんでした」と渡辺取締役はいうが、2009年にサイトをリニューアルすると、売上はそれまでの3倍に増加。それほど大きな規模ではないが、サイト運営費をまかなって多少の利益が発生するようになったという。

専門出版・専門書店ならではの連携も

 自社出版物については、出版部で登録すると自動的にサイトにアップされ、他社の本に関しては、早稲田正門店で入荷した法律書のデータを登録している。同店は36坪だが、2階はすべて法律書という専門店なので、「アマゾンでも取り扱っていない出版社の本も入ります」(松野課長)という強味がある。

 ネット販売の利用者には、早稲田大学の法科大学院を卒業した法律家も多く、学生時代に来店していたお客がそのままネットの利用者になるという、これも専門店ならではの利用のされ方だといえる。

 同社の事例は、専門分野の出版と店舗がシステムで連携し、しっかりと顧客をつなぎ止めているといえるだろう。