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事例紹介

Case

出版システム総合出版雑誌系出版

世界文化社
パソコン画面で経費精算から外部支払いまで
Web経理処理システム導入

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

Web版経理処理支援システム《クロス・ペイメント》
株式会社 世界文化社 様 (文化通信bBB 2003/12/8掲載)

株式会社 世界文化社

所在地 東京都千代田区九段北4-2-29
代表者 取締役社長 鈴木 勤
創 業 1946年2月
設 立 1954年11月
資本金 5,255万円
年 商 179億円(2006年実績)
社員数 231名 (男128名、女103名)

 世界文化社は昨年10月に、全社員がパソコン画面で経費精算から外部への支払まで出来るWeb経理処理システムを導入した。経理部門の手間が大幅に削減されるとともに、文字入力が不要にプルダウンによる入力環境を作り、部門や媒体ごとに詳細な経費・支払細目のデータを蓄積できるようになた。

 同社は5年前に社内LANを導入、2年前には全社員1人1台のシステム環境を整え、それを機会にパソコンを使った経理システムの導入を計画した。
 出版社では契約社員・アルバイトといっても社員と同じような仕事をするケースが多く、社員240人、アルバイトなども含めれば300人の全従業員が、ストレスなく使えるシステムを作ることが課題だった。そのため、経理部門の安部麗司部長は、「電卓をたたかず、会計用語は使わず、文字入力もほとんど必要ないものにしよう」と考えた。
 しかも、原稿料の支払い方法などは出版社によって千差万別で、一般業種の経理ソフトにはなかなか満足できるものがない。そこで、システム会社の光和コンピューターと共同でWeb経理処理パッケージソフト(X-Payment:クロス・ペイメント)をベースに、1年半かけて独自開発を行った。

新システム移行でサブシステムとの連携強化

■Webでの経理処理を実現

 新システムは通常のインターネットブラウザに対応しているため、社員は自分のパソコンで画面を開き、社員コードとパスワードを入力すれば経理処理を行うことが可能。上司も同様の手順で精算・支払を承認することができる。

 契約社員・バイトが入力者になり、同部署の社員が申請者になるなど、申請者や承諾者といった項目も随時選択できるようになっている。

 また、Webシステムになったことで、ソフトの修正は経理部門のサーバー1ヵ所を直せばよくなり、機種変更や追加等でも端末パソコンのソフトのインストールや修正を1台づつ行う必要もなくなった。

複雑な原稿料支払も楽に

 ログオンすると、入力者の職責に応じて必要なメニュー画面だけが表示される。もちろんここで上司は部門の状況を管理することができるし、入力者が、以前に行った自分の支払や精算の内容も確認できるので、ダブリや支払い忘れといったミスを防ぐことができる。

 特に、原稿料の場合は、支払先件数だけで、全社で毎月1000件は発生しており、しかも、単行本、月刊誌、ムックなどで計算方法も複雑。著者が同姓同名ということもあり得るし、新しい著者=取引先が日々発生する。

 原稿料支払い画面=写真(②)=では、こうしたことを想定し、新規取引先を仮登録したり、原稿料の単価を入力する部分に「一括」と入れられるなど、仕事の実態に合わせた工夫がされている。同姓同名の有無は、著者DBで自動的にチェックされるので、入力ミスが著しく減ったという。

特集ごとの詳細な経費管理も可能に

 入力項目は細分化されており、例えば雑誌編集部の入力者の場合、その経費や支払が発生した誌名号数はもちろん、テーマ(特集など)を入力することもできる。営業部もこのテーマで支払を入力するというから、その本の編集日を営業費を把握できる。

 そして、支払内容は勘定科目から、項目、細目と細分化されていて、電車バス代、宿泊日当、タクシーといった一般的なものから、写真、デザインなど出版社固有の細目がメニューで表示される。

 編集費用の細目については、安部部長が全ての編集部門と協議して設定したというだけあって実に細いが、全てプルダウンメニューの選択と、数字入力だけで行える。

 このようにして収集したデータからは、どの雑誌のどの特集で、写真にいくらかかったのか、電車台はいくらで、タクシー代はいくらだったのかといった経費が全て読みとれる。「1年間運用してDBが整ってきたので、編集費や営業費の中身がみえてきた。これをどう活かすかが今後の課題」(阿部部長)という。

経理部のキャッシュレスを実現

 画面上の処理を完了すると、今でも確認のため伝票をプリントアウトして、領収書などを貼り付けて経理部に提出している。経理部ではプリントアウト伝票のチェックとデータとの付け合せという新たな作業が発生したものの、伝票に必要項目を記入して、経理部でパンチ入力していたことに比べれば、大幅に省力化された。

 オフコンの経理システムでは、過去の経費精算データの細目を確認しようとすると、大量の伝票をチェックする必要があった。新システムでは随時過去の記録が明細まで確認できる。

 また、経費の精算は、これまで経理部で直接現金を手渡していたが、そのシステムの導入と同時に全て銀行振込に切り替えた。経理部に多額の現金を置く必要がなくなり、今は当日中に申請されたものは翌々日午前中には振り込んでいる。

 導入に当たり、阿部部長は「社員研修をしなければならないようなシステムでは出版社には難しい」と考えた。実際の研修は各部門1時間半程度。しかも研修などはなかなか参加できない。それでも、できるだけ従来の業務に合わせたインターフェイスを開発したことで、5~6ヶ月で運用に慣れてきたという。

 一方、開発元の光和コンピューターもこのシステムについて他社の出版社にも需要があるとみており、X-Payment(クロスペイメント)として販売を開始した。中堅から大手出版社に向けて提供していく。