1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. 出版システム
  5. すばる舎リンケージ電子書籍の販売・印税管理システム導入市場拡大で管理業務の効率化必要に

事例紹介

Case

出版システム総合出版

すばる舎リンケージ
電子書籍の販売・印税管理システム導入
市場拡大で管理業務の効率化必要に

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(電子書籍販売・印税管理システム)
すばる舎リンケージ 様(文化通信bBB 2014/5/26 掲載)

株式会社 すばる舎リンケージ

設 立 2006年10月1日
従業員 12人
所在地 〒170-0013 東京都豊島区東池袋3-9-7
       東池袋織本ビル1階
電 話 03-6907-7827

 すばる舎リンケージは今春、電子書籍の印税集計・支払いを迅速に処理するため、光和コンピューターのシステムを導入した。2008年から電子書籍事業に力を入れてきた同社だが、本格的な成長期に入って売り上げは順調に拡大。それに伴って経理処理の効率化が必要になってきたという。

新刊の95%を紙・電子で同時発売

 同社はビジネス書や実用書など、生活と仕事に係わる総合出版すばる舎のグループ会社として、電子書籍の制作・販売などを手がけている。従業員は12人、このうち4人がWEB編集部で電子書籍の制作・販売を担当している。

 すばる舎が刊行する新刊は月間6~8点。WEB編集部・鈴木貴幸マネージャーは、「いまは新刊の95%ぐらいの電子書籍を紙版発売から2~3週間後に発売できています」と話す。

 版権処理が難しい海外翻訳物や、一部には著者の意向で遅れるものもあるというが、「書店での発売から少し遅らせてほしいといったご要望はありますが、まったくダメという著者は皆無になりました」と最近の状況について説明する。

 同社が本格的に電子書籍事業を始めたのは、WEB編集部を立ち上げた2008年4月。鈴木マネージャー1人の部署だった。

 その後、2011年4月には「原則として、全紙書籍新刊の電子配信」を宣言。「当時、まだKindleが参入していませんでしたが、1年後ぐらいには・・・、と考え、小規模の機動力を活かすために早めの判断をしました」(鈴木マネージャー)。

 このときは、さすがに社内からも、「電子と紙が食い合うのではないか」「市場性はあるのか」と懸念の声も上がったが、「新刊は電子化されるのが当然の時代が来ると考えていました」と鈴木マネージャーは振り返る。

契約からプロモまですべて担当

 WEB編集部では、電子書籍にかかわる著者との契約、制作から配信、プロモーションまですべての領域を担当する。

 制作は内製化している組版(インデザイン)の校了データから、モリサワの「MCBook」を使ってePubファイルを作成している。

 著者やデザイン会社、編集制作会社といった段階も、今は電子書籍発行を前提として契約、料金体系にしている。このため、「制作原価は上がりました」(鈴木マネージャー)とはいうが、それによって新刊の95%をほぼ紙と同時期に刊行する体制を早期に整えることが可能になった。

売り上げは約180%増

 新刊の同時期発売について鈴木マネージャーは、「食い合わない。両方出ていることを見せた方が効果的では」と手応えを感じている。

 電子書籍の刊行点数は、これまで発行された紙書籍の半数に迫る。過去の刊行物も「2012年に日本出版インフラセンターが実施した『コンテンツ緊急電子化電子化している化事業』で100点程を電子化してかなり進めることができました」という。年度版などを除くと、ほぼ電子化している。

 こうした新刊、既刊の電子化体制によって、この分野は前年比約180%を超える成長を続けている。アマゾンジャパンが発表した2013年度のKindleストアランキングでは34位に入った。

紙版販売の30%に達する電子版も登場

 プロモーションとして効果的なのは、「価格施策」だという。同社では電子書籍の価格を紙版の7~8割に設定しているが、これを期間限定で半額程度に引き下げる電子書店のキャンペーンに参加する。

 「今年に入って、ものによっては紙版のPOS販売データに対して電子版の売り上げが30%に達する商品も出るようになり、ユーザの嗜好の変化を感じます」と鈴木マネージャー。

 そういうケースは、「発達障害」や「人見知り」など悩みを抱えた読者向けの、書店では購入しにくい商品に多いという。そのように電子が適した商品でキャンペーンを展開することで、今までにはない規模で市場を広げることができるようになっている。

 さらに、過去に売れた本の再発掘も電子書籍のメリットだという。数年前に数万部を販売し、いまでは書店店頭からはほとんど消えてしまった本のなかから、電子書店での詳細ページアクセス数や季節要因を捉え、価格キャンペーンを展開して効果を上げることも多くなった。

 「新刊をすぐに値下げすると自分の首を絞めてしまいかねませんが、時間がたった商品の掘り起こしなら、書店店頭への悪影響もありません」と、鈴木マネージャーは、電子書籍による新たな市場開拓の可能性を指摘する。

煩雑になった販売・印税管理

 このように電子書籍の刊行点数が増え、市場が拡大するのに伴って、売り上げの集計や印税支払いの作業負担が大きくなってきた。

 「以前はEXCELで管理していましたが、年度末の2カ月ぐらい前から社員2人がかかりきりという状況になってきました」(鈴木マネージャー)という。

 このため、比較的安価なクラウド型の処理システムを導入したが、今年3月の年度末に向けて、すばる舎が既に販売・在庫管理などのシステムを利用していた光和コンピューターの本格的な管理システムを導入した。

 電子書籍は、同社が取引している電子書店や電子取次から売り上げ報告が来るが、そのタイミングが取引先によってまちまち。しかも、価格キャンペーンを実施すると販売価格も変動するため、管理が煩雑になる。

 光和コンピューターは、既にいくつかの出版社で同様のシステムを導入してきた実績もあり、鈴木マネージャーは「販売報告書、支払調書を作るフローができていて、ニーズにあった仕様で提案してもらえた」と述べる。

 電子書籍市場も“元年”からいよいよ次の段階に進みつつあるが、管理面でも本格的なシステム活用が始まったといえそうだ。