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事例紹介

Case

出版システム

電子出版特集 株式会社すばる舎
電子書籍システムと基幹システム(出版ERP)を連携
紙・電子の調書を一体化

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出版システム
株式会社すばる舎
(文化通信 2025/5/20 掲載)

互野氏

株式会社すばる舎は早くから電子書籍刊行に着手し、2013年には光和コンピューターの電子書籍管理システムを導入した。電子書籍の印税計算を効率化するとともに、それ以前から利用してきた基幹システムと連携することで、紙書籍と電子書籍を合わせて支払調書を作成することなどを可能にしている。

 同社はビジネス書や実用書などを中心に年間70点ほどの新刊を刊行。2019年に発売した永松茂久著『人は話し方が9割』(定価1650円)が累計150万部のロングセラーになっているのをはじめとして、2023年に発売した山本渉著『任せるコツ』( 定価1650円)、昨年4月に刊行した長倉顕太著『移動する人はうまくいく』(定価1650円) が、いずれも15万部に達するなど、ビジネスジャンルでの売れ筋が多い。
一方で、多チャンネルでの販路拡大を目指し、2021年にはBL ノベルのレーベル「プレアデスプレス」を立ち上げた。中国、韓国、台湾の作家を中心にしたBL 作品を翻訳して刊行。まずは電子書籍として連載、発売し、売れ行きの良い作品を単行本としても刊行。中国で人気作家である墨香銅臭氏による『人渣反派自救系統 クズ悪役の自己救済システム』(定価1980円)は電子で大ヒットし、紙書籍でも3万5000部のヒットとなっている。

ガラ携時代から電子コンテンツに着手

同社の電子書籍への取り組みは、2000年代初頭に遡る。当時のすばる舎のオーナーが、関連会社「すばる舎リンケージ」を立ち上げ、紙書籍の電子化に着手。同時に、電子書籍の内製化を始めた。
本格化したのはAmazon が日本版kindle のサービスを開始した2012年。まとまったコンテンツを投入するため、経済産業省の「緊デジ(コンテンツ緊急電子化事業)」も活用し、既刊書をメインに電子化を進めた。その後、EPUB による電子化が軌道に乗ったところで、新刊も積極的に電子化するようになった。
現在は紙で刊行するものは原則として電子化する方針で、新刊については制作進行上可能なものは紙と電子をサイマル発売している。過去作品もほぼ電子化を完了。この結果、電子書籍の稼働点数は1200 ~ 1300点に達する。

2013年に電子書籍システム導入

電子書籍の売れ行きは「紙で売れるものは電子にも好影響を及ぼす」と販売責任者の互野啓氏。同社では、売れ行きが良い書籍を書店店頭で積極的に展開する販促手法をとっていて、その効果が電子書籍にも現れるという。そして売れ行きが伸びてランキング上位に入るとさらに露出が増えるという好循環になりやすい。このため「紙と電子書籍を分けて考えるのではなく、トータルでの売上最大化を目指す」と互野氏は説明する。
システムについては、2006年に光和コンピューター「出版ERP」システムの「販売管理」、「印税計算」を導入したのを手始めに、2008年には「書店実売管理」システムも稼働した。電子書籍の発行・販売は当初、関連会社のすばる舎リンケージで行っており、電子書籍発行を本格化させた2013年には同社が光和コンピューターの「電子書籍管理・支払管理」システムの利用を開始した。
同社の電子書籍取引先は、メディアドゥとモバイルブック・ジェーピーの取次2 社と、Amazon kindle、楽天Kobo、パピレス、Google Play ブックスの各ストア。システムは、こうした取引先ごとにフォーマットが違う販売レポートを取り込んで集計することや、「話売り」「待てば0円」「割り引き」など多様な価格設定に対応した印税算出などを行っている。

紙と電子のシステムを連携

2020年にすばる舎とすばる舎リンケージが合併。これに伴って電子書籍の事業とシステムはすばる舎に統合された。ただ、電子書籍システムは「出版ERP」とは別に運用し、電子書籍システムで集計した結果を「出版ERP」に取り込んでいる。
それでも、合併時に紙版と電子版それぞれで運用していた著者マスタを統合できたことで、支払調書などは紙版と電子版の印税を同じ帳票にまとめることができている。「電子書籍が1200 ~ 1300点になり、それぞれに著者がいる上に、編集プロダクションやライターなども紐づいているので、いまはシステム無しに集計することは考えられません」と互野氏は述べる。
今後は「PUBNAVI」で実現されている著者への売上報告をメールで送信する機能などの拡張を希望している。