1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. 出版システム
  5. 辰巳出版株式会社”受注実績”から”実売実績”への移行不定期刊行物は2000年以来2桁成長販売データが出版営業の鍵に

事例紹介

Case

出版システム総合出版雑誌系出版

辰巳出版株式会社
”受注実績”から”実売実績”への移行
不定期刊行物は2000年以来2桁成長
販売データが出版営業の鍵に

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

「出版ERP」システム  「書店実売管理システム」
辰巳出版株式会社 様 (文化通信bBB 2004/7/26掲載)


穂谷竹俊販売促進部長兼広報宣伝室長

小粥健吉メディア推進室長兼情報システム室チーフディスク

辰巳出版株式会社

資本金 1,000万円
設 立 1944年11月1日
代 表 代表取締役社長 木口 靖夫
本社所在地 東京都新宿区新宿2丁目15番14号
支社 西部支社、中部支社
社員数 157人
業務内容 雑誌・書籍・ムック・コミックス・ビデオ・CD-ROMの出版発行
売上高 145億円(平成17年度)
関連会社 株式会社蒼竜社、株式会社綜合図書、富士美出版株式会社、株式会社スコラマガジン、日東書院本社

 辰巳出版は販売管理データを活用した書店促進によって、ここ数年、不定期刊行物の売上を毎年2桁のペースで拡大することに成功した。今では書店実売管理システムを使った促進用のツール作成は、営業に欠かせない作業となっている。

出版傾向の変更で威力

 同社は定期刊行物を中心に、年商166億円、従業員164人の中堅出版社。不定期刊行物はムック、写真集、さらには蒼竜社・綜合図書・富士美出版・スコラマガジンのグループ5社がコミックス、成人コミックスなどを出版し、合わせて月間でムック約10点、コミックス約7点、書籍と写真集は年間約8点を刊行している。

 かっては成人向けの雑誌、コミックスというイメージが強かった同社だが、2000年から実用系、趣味系の不定期刊行物の出版活動を強化。「それまで訪問していなかった総合書店への促進を始めるために、個別書店の販売実績をみた上での提案営業が必要と判断しました」(穂谷竹俊販売促進部長兼広報宣伝室長)。このときから市場開拓に、販売データが大きな力を発揮したという。

 書店のPOSデータ配信組織P-Netに参加したのが2001年の春当初は市販データベースソフトで分析を行ったが、より簡便に利用するため、その年の暮れに光和コンピューターと「書店実売管理システム」を開発した。

 それまで促進していなかった書店を訪問するときは、同様の商圏と顧客層を持つ書店の実売データを分析した品揃えや陳列方法を提案したり、チェーン店には本店ならびに基幹店の実績から提案営業を行ったりして、「ある大手チェーン書店の実売実績は、3年間で5倍になりました」(穂谷部長)。その結果、出版傾向を変えて以降、不定期刊行物は毎年2桁成長を続け、後半落ち込んだ昨年でも前期比102%と伸びを維持した。

 また、申告所得ランキングや売上ランキングで現れる一般的な上位書店と、自社の実績データを並べて、とりこぼしている書店はその年の課題として取り組むことで、売上の拡大を持続している。

4000書店の個別実績を把握

 販売データは、P-Netを月次で受けているのに加え、紀伊國屋書店PublineWeb、文教堂BIGNET2、三洋堂書店SPN2、ストアコンソーシアムジャパンWEBRAIN、明治書店OpenNetのデータを収集。重版予測には、こうした日時データを発売7日目、実績で確認している。

 さらに、同社は実用ムックから成人コミックスまで幅広い商品ラインナップを持つため、P-Net未加盟の専門店からの電子データ、POS未導入の一部書店からのスリップも回収。全体で4000の個別書店のデータを把握している。

 こうした多様なデータも、システムには「共有マスタコード、ISBNコード、冊数というフォーマットのデータなら、そのまま取り込むことができます」(小粥室長)。

 管理帳票は日付、単店、チェーン、エリア、担当者などさまざまな角度から抽出できる。新刊の指定配本表や、書店向けベスト商品注文書なども、このシステムで作成している。

 また、部員の訪店回数を日報から入力しており、個別部員の実売実績、訪問店回数、伸び率といった数字をみることもできる。
「営業管理者としても役立ちます」(穂谷部長)

日常的に個店の販売実績を活用

 同社が共同開発した「書店実売実績管理システム」は、パソコンサーバーに販売データ、書店データ(共有書店マスタ)、書店情報を蓄積し、LANで繋がったパソコンで各種分析を行うことができる。

 名古屋、大阪の支店を含めた販売促進部員12人は、日常的にパソコンを使って、訪問書店の実売データを参照し、共通の営業ツールを個別書店ごとに出力している。

 システム構築にあたっては、「売る立場で当方からの要望を伝えて作ってもらった」(穂谷部長)ため、「初めてパソコンに触れたという部員もいますが、簡単な操作でデータを作成できています」(小粥健吉メディア推進室長兼情報システム室チーフディスク)という。

プレゼン能力が必要

 こうした販売促進の変化を穂谷部長は「受注評価から実売評価への変化」と呼ぶ。とにかく書店から受注すればよいというかつての促進手法が、無駄を生まない方法に変化している。

 一方、書店側も人間関係だけで発注を出すことは少なくなっており、本部発注制をとるチェーン書店では、バイヤーとの交渉がカギになる。「短時間で説得するプレゼンテーション能力が要求されます。そのための材料となるデータと分析システムは欠かせません」(穂谷部長)と、今後ますますデータの重要性が増すとみている。

 このシステムを構築するために約500万円のコストをかけたが、同社では充分に効果を上げているという。

 

 

書店訪問の前にはPCで営業ツールを出力

▼伝票検索画面


▼商品売上ランキングリスト作成画面