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事例紹介

Case

出版システム専門書出版

東海教育研究所
取次口座の開設でシステムを導入

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売管理システム)
東海教育研究所(文化通信BBB 2020/1/6 掲載)

東海教育研究所

設 立 1970年(昭45)8月21日
資本金 1000万円
代表者 原田邦彦
所在地 〒160-0023
東京都新宿区西新宿7-4-3升本ビル7階
電 話 03-3227-3700(代表)

 東海教育研究所は雑誌『望星』や東海大学新聞を発行するなど東海大学に関わる事業を手掛けているが、2018年に独自の取次口座を開設し、合わせて光和コンピューターの販売管理システムなどを導入し出版活動を強化している。

松前重義氏が創刊した『望星』

 同社は1970年に東海大学からも出資を受けて設立された。それは、同大学の創設者であった松前重義氏が1946年に創刊した雑誌『望星』の、現在も続く第2次創刊の年だった。創業社長は松前氏自身が務め、『望星』を発行することが同社の主な役割だった。

 『望星』は松前氏の思想や教育への思いを色濃く反映していたが、多彩な書き手が特集や連載、コラムなどを執筆する総合雑誌の体裁を持つ。当初は教育問題を中心に据えていたが、近年は暮らしや生活をテーマに加えるようになり、2019年12月号は「映画について私が語ること あるいは生涯の一本」、2020年1号は「微生物オリンピック-小さな国際救助隊に金メダル」を特集している。

 同誌は東海大学在学生の父兄などに向けて、多くが直接定期購読で提供されてきた。また、同社は同誌のほか、東海大学新聞編集委員会が発行する「東海大学新聞」の制作も受託。さらに、同大学文化社会学部広報メディア学科の学生らが2002年から発行を続ける学生スポーツ新聞「東海スポーツ」の制作もサポートしている。

創立30年を機に書籍を刊行

 書籍は創業30年を迎えた2000年10月に『大事なことは「30代」に訊け!』(月刊『望星』編集部)を発行したのを手始めに刊行を開始。雑誌『望星』の企画や執筆者とのつながりを生かし、新たな事業の柱にすることを目指している。

 ジャンルは生活・教養全般をテーマに、刊行点数は1年間に平均4点ほど。これまで累計で81点を刊行してきた。その中には2011年に刊行し累計2万2000部に達している三山喬『ホームレス歌人のいた冬』もある。
村を訪ねる』、寺田直子『増補版フランスの美しい村を歩く』、坂井彰代『フランスの一度は訪れたい村』というフランスものが売れ行き良好だ。

 これらは同社が立ち上げたウェブサイト「かもめの本棚」に掲載された作品を書籍化したもの。このサイトは「きれいをつくる」「美しいくらし」「食べるしあわせ」「子どものこれから」といったテーマで寄稿やインタビューを掲載しており、情報発信と同時に書籍化するコンテンツを蓄積することも目指している。

 また、サイトでは閲覧者の数や反応をみることもできるため、事前のマーケティングにも役立つ。実際にサイトの反応が良かった『フランスの美しい村を歩く』などは書籍も好評だ。

システムで“見える化”目指す

 以前は雑誌も書籍も東海大学出版部が発売元だったが、2018年に大手取次各社と独自の口座を開設した。

 同社の原田邦彦社長は「大学出版部は自然科学を中心にした専門書が多く、当社の書籍は一般書なので独自の販売網を持つため」と口座開設の目的を説明する。

 これに伴って同じ年に販売管理などのシステムを導入した。それまでは取次との交渉などは東海大学出版部に任せておりシステムは利用していなかった。物流も東海大学出版部が業務委託していたワタナベ流通に任せているが、当時は在庫も台帳で管理していた。

 原田社長はシステム化について「仕事を見える化したかった。出版流通は複雑で仕事が属人化しやすいが、数値が見えるようにして誰でもできる体制にしておきたい」と話す。また、広告の効果検証など、販売データを生かすことも考えている。システム導入に合わせてインテージの出版POSシステムの利用も始めた。

 システムの選定は3社ほどから提案を受けた。規模、価格、サーピス内容を比較した結果、「初期費用の多寡よりランニングコストの低さで光和コンピューターを選んだ」と佐野弘二取締役事業部長。導入にあたっては光和コンピューターのサポートでIT補助金も活用できた。導入は2カ月ほどで完了し、順調に稼働している。

 現在同社の従業員は21人。このうち4人が営業を担当している。システムはサーパー1台と端末2台で利用。販売管理のほか、定期購読管理、印税・支払管理のシステムも導入した。

50周年で『望星』デジタルアーカイブを構築

 2020年8月に創業50周年を迎える同社は、記念事業として通巻600号を超える『望星』のデジタルアーカイブ化を進めている。自らも若い頃に松前氏から薫陶を受けたという原田社長が2年ほど構想を温めてきた企画で、広く学外へも公開する予定だ。

 今後について原田社長は「50年の歴史を生かして、これから独自の事業も拡大していき、それが結果として大学をサポートすることになればと思っている」と話している。