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事例紹介

Case

出版システム専門書出版

東京堂出版
新システム導入で効率化目指す
出版ジャンルの多様化にも対応

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(販売・書店管理システム)
株式会社 東京堂出版 様(文化通信bBB 2012/10/29 掲載)

株式会社東京堂出版

創 業 1890年(明23)
1964年(昭23)株式会社東京堂出版発足
代表取締役社長 皆木和義
資本金 2000万円
従業員 20人(営業6人)
所在地 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-17
電話代表・営業 03-3233-3741

 東京堂出版は今年7月に光和コンピューターの販売管理と書店管理のシステムを導入した。営業サイドからの提案でシステムを刷新したが、合わせて在庫管理・出庫の方法も変更するなど、全般的に流通・販売管理の体制を刷新した。

社内プロジェクトでシステム見直し

 システムの変更は2011年に営業部からの提案でスタート。営業、管理、編集など各部署の担当者が集まってシステム委員会という社内プロジェクトを立ち上げて検討を開始した。

 システム変更を提案した営業部は、「それまで受注から出庫までの作業に無駄な工程がありました」と提案の動機を説明する。「一例ですが、従来のシステムでは営業部が電話で受けた注文を、手書き短冊に記入して、再度、商品管理部門が入力してましたが、これを電話を取った担当者が直接入力するような形にしたかったのです」という。

 また、データ抽出や加工が簡単にできなかったため、販売データなどを加工して営業に活かすことが難しかった。

 以前のシステムは、データベースのアプリケーションソフト「Access」をベースに、業者に依頼して作っていたが、制作当初の担当者のやり方に合わせていたため、操作が属人的になっていた。また、部署ごとにシステムを導入していたため、書誌マスタが一元化されていなかったといった問題もあったという。

“融通が利く”が決め手

 システム見直しを進める上では、「営業サイドで使いやすいか」「取引先など対外的に対応できるか」をポイントに、複数のシステム会社からの提案を受け、検討の結果、光和コンピューターのシステムを導入することに決めた。

 光和のシステムを選択した理由について、「費用面のこともありましたが、一番、融通が利きそうでした」と述べる。従来システムには担当者の使い方に合わせた独自のカスタマイズが多く、今回の新システム導入によって、ある程度は標準化を図る予定だったが、そうはいっても、従来のやり方を踏襲するケースもあり、そのためのカスタマイズが必要だったからだ。

物流は倉庫会社に委託

 システムの導入に伴って、自社倉庫(埼玉県朝霞市)で行っていた在庫管理や出庫といった物流業務を、出版倉庫業者の朝霞装文社に委託。自社倉庫に常駐していた社員2人は営業部に異動するなど、効率化を図った。そして、朝霞装文社には端末2台を導入し、本社で注文情報を入力すれば、倉庫でそのまま伝票を発行できる体制になった。

 また、それまでも利用していた「POSDATAうれ太」(ジュンク堂書店)に加え、今年1月以降に「Publine」(紀伊國屋書店)、「出版POS情報提供システム」(インテージ)を導入し、書店のPOSデータ収集も本格化している。今後、書店管理システムで販売データ分析や書店管理などを行う予定だ。

多様な出版傾向への対応

 同社は、1890年(明23)に創業した東京堂の出版部門として、創業の翌年には出版物の刊行を開始。1964年に東京堂出版として独立した。

 現在、新刊点数は年間70~80点、稼動点数は1500点。刊行内容は、大学・研究者向けの人文系専門書、言葉の辞・事典類のほか、マジック、気象予報士の問題集など、多岐にわたっている。

 さらに、2011年からは、新しいジャンルへの取り組みとして、ビジネス、自己啓発系の新刊も増えるなど、さらに出版傾向は拡大している。新システム導入やPOSデータの収集といった取り組みには、こうした刊行内容の変化への対応という目的もある。

定期や名簿の管理を社内で

 また、同社出版物の販売先には、大学、公共図書館、中学・高校など法人が多い。大学や公共図書館での購入が多い過去文献の集成「遺文」は、平安、鎌倉、南北朝、戦国などの時代ごとに多くの巻数が長年にわたって刊行されるため、定期性が高く、定期購入者の把握が必要だが、これまでは取次の定期を利用していた。「返品率を抑えるためにも販売データを整備する必要があります」と営業部。

 また、研究者などへのダイレクトメールも外部業者に任せていたが、こうしたデータ管理も、「ばらばらに管理してきたデータを整備して、システムと結びつけることでDMなどの精度を高めたい」という。

データから営業のアクション起こす

 新システムの稼動から2カ月余。まだ各人のPCで利用する環境を整備している段階だが、「受注の履歴がすべてデータで残るようになったので、書店様の問い合わせにも、いつ出庫したかを即答できるようになった」といった効果が現れ始めている。

 書店の販売データ分析も、まだデータがそれほど蓄積されていないが、「今でもランキングをみると意外なものが入っていたりします。これまで見えなかったものを見つけて営業のアクションを起こしていきたいと思っています」と積極的に取り組んでいく考えだ。