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事例紹介

Case

出版システム専門書出版

中央法規出版株式会社
ベンダー2社のシステムを接続
物流から販売管理までを網羅
中央法規出版

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版物流システム 「-SFTSYSー」
中央法規出版株式会社 様 (文化通信bBB 2007/10/22掲載)

中央法規出版株式会社

本社所在地 東京都渋谷区代々木2-27-4
取締役社長 荘村 多加志
創 立 1947年12月4日
資本金 5000万円
社員数 340人(2007/9/1現在)
「無駄なことをしなくて良くなり、ミスも減った」と話す荘村明彦副社長

 加除式法令書で知られる中央法規出版は、書店ルート向け書籍の増加に伴って、2006年9月、主婦の友図書と光和コンピューターという2社のベンダーのシステムを組み合わせたクライアントサーバーによる物流・販売管理システムを構築した。
 システム導入に合わせて業務の標準化を図り、人的コストの削減に結びつけているという。

国家試験テキストで一般書が増加

 1947年に岐阜県で創業した同社は、自治体、法人、学校などを対象にした加除式法令書の発行で成長し、かつては取次・書店ルートでの一般書籍はほとんど発行していなかった。

 それが、1987年の「社会福祉士及び介護福祉士」施行に伴って始まった資格試験「社会福祉士」「介護福祉士」用のテキストが採用され、これ以降、書店ルートでの流通が拡大。現在では年間の刊行点数200点余のうち約150点を一般書が占めるようになった。

 さらに、17年前には介護専門職のための総合情報誌『おはよう21』を創刊。現在は同紙のほか認知症ケアの情報誌『りんくる』、ケアマネジャーの専門誌、『ケアマネジャー』も発行している。

 こうした取扱商品の拡大に合わせて、書店ルートを対象にする営業担当者も増加。以前にはあまりなかった書店からの電話やFAXによる注文もふえたという。

現場からのシステム変更の声が

 しかし、従来の直販を前提としたシステムでは、個別書店からの発注に対して迅速に在庫確認を行ったり、正確に出荷したりするという流れが作りにくく、営業現場からはシステムの変更を望む声が上がっていた。

 また、1981年に導入したシステムは、オフィスコンピューターを利用した独自システムで、新しい環境に合わせることも難しく、「対応できる技術者もいなくなり、開発言語も一般的なものを使うことが望ましい」(総務部・佐藤寿哉課長)との事情もあって、クライアントサーバーシステムの導入に向け、2年半ほど前から検討を開始した。

他社へのリンクが選定のカギ

 導入したシステムは、受注から物流までを主婦の友図書、取次請求やデータ管理など販売・勘定系を光和コンピューター、という2つのシステムを組み合わせたものになった。

 システム選定に当たり、営業担当者が他の出版社などを回る中で、主婦の友図書の物流システムが浮かび上がったのだが、当時の主婦の友図書では勘定系システムを提供しておらず、物流から販売管理まで一貫したシステムを求めていた同社のニーズには応えきれず、「一時は断念しかかっていた」と佐藤課長はいう。

 ところが、他のシステム会社の提案を受ける中で、光和コンピューターのWebサイトに主婦の友図書へのリンクがあることを発見。提携関係にあった両社のシステムを組み合わせた提案を受け、導入を決定したという。

“あるはずなのにない” を解消

 従来のシステムは在庫のリアルタイム管理が出来なかったため、書店からの注文があってもすぐに確認できず、「あるはずなのにない、ということも多く、書店様にご迷惑をおかけしていた」(荘村明彦副社長)というが、新システムで在庫のリアルタイム化を実現し、受注担当者が自分のパソコンで確認しながら注文を処理することができるようになった。

書店からの電話を受けながら、注文情報を入力できる

再々入力の必要もなくなる

 同社の在庫管理と出荷業務は、東大和市にある配送センターで行っているが、ここでも以前にはできなかったバーチャルな在庫取り置きなどが可能になり、“あるはずなのにない”は根絶された。

 受注から取次搬入までの流れも、かつては営業担当者が書店から電話やFAXで受けた注文メモをパソコンで入力し、短冊状に出力した紙を配送センターで職人芸的な短冊の切り分け作業、ピッキング、そして納品伝票作成のための再入力まで行っていた。

 現在は、営業が電話を受けながらパソコンの入力画面で注文情報を入力すれば、そのまま配送センターでピッキングリストと納品伝票が出力される。電話を受けた時点で書店の情報が自動的に表示されるCTIの仕組みも組み入れてある。

 さらに、配送センターでは送品、返品の検品用にバーコードスキャナを導入。再入力を行わないため、手間とミスが減少し、「無駄なことをしなくても良くなり、ミスも減った。取扱量に比した人件費は相当効率化できた」(荘村副社長)。そして、なによりも、書店への迅速な回答と間違いのない出荷が可能になったことが大きいという。

業務の標準化にも貢献

 システム導入に当たっては、同社独自のやり方をできるだけ標準的なものに改めるようにしたという。

 例えば、返品改装のことを同社では「再生」と呼ぶといった言葉の問題から、取引先の書店や取次のシェアが一般の出版社と違うため、独自の取引先コードなどを使ってきたということがあったが、こうしたものを共有書店マスタコードや取次協会の取次コードなどに改めた。

 「最初はとまどいもあって、現場からは長年使い慣れた以前のコードに戻してくれという声もあったが、標準化されたコードを使用するよう理解を求めた」(荘村副社長)という。旧来のルールに合わせるためにコストをかけるよりも、もっと前向きに独自性を発揮する部分に投資すべきだという考えからだ。

 そうした独自性とは、教科書採用品における営業活動で顕著にあらわれている。教科書の採用については直販の営業担当者が学校などと交渉するが、同時に書店もそれと重なるマーケットにおいて営業活動を行っている。多くの学校が書店に一括発注をかける例も多いため、取次から納品・返品データを取得し、直販活動の成果と納品実績を検証するといった仕組みである。

 こうした同社の強みでもある独自の販売スタイルと、取次・書店ルートという標準的な仕事の流れを組み合わせるところに、同社のシステム構築の難しさと独自性があらわれているようだ。