吉見書店
近刊予約可能なPiTSPOTを導入
会員向け予約販売などの環境整備に期待
近刊予約端末『PiT SPOT』
株式会社 吉見書店 様(文化通信bBB 2011/10/24 掲載)
株式会社 吉見書店
創業 | 1879年(明治12年) |
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資本金 | 1000万円 |
代表者 | 吉見光太郎 |
長田店 | |
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営業時間 | 9:50~22:00 |
取引取次 | トーハン |
所在地 | 静岡県駿河区新田2丁目16-22 |
静岡県の吉見書店は8月1日、書店としては3店舗目となる長田店を売場面積210坪でオープン。同時に店頭で近刊予約やCD・DVDの注文ができる光和Jコンピューターの情報端末「PiT SPOT(ピットスポット)」を導入した。開店から2カ月余、まだ本格的な利用は始まっていないが、今後への期待と課題などがみえてきた。
住民増加地区に開店
長田店はJR静岡駅から西の方に4~5㌔、安倍川を超えた駿河区東新田にある。店舗のうち190坪が書籍・雑誌売り場、残り30坪で「サーティワンアイスクリーム」のコーナー型店舗を運営している。駐車場は30台。
周辺は住宅街で、小学校、中学校が多い。静岡駅周辺よりも地価が安いこともあり、住民は増えている。そのため、小・中学校の児童数も増加している地区。来店客は現在のところ土日が多く、ベビーカーを引いた家族連れなど、近隣の住民が多いという。
年配顧客から「近くにできて有り難い」と反応も
長田店は、こうした環境に対応し、コミック売り場を30坪ほど設けたほか、児童書のコーナーにも力を入れている。常木和幸店長も「児童書の売れ行きはよいです」と話す。
また、この地域には周辺に新刊書店がほとんどない。同店は以前、書店とレンタル、中古などを併設した他社店舗だった場所で、周辺の年配顧客からは「近くに書店ができて有り難い」「前の店より明るくなった」など良い反響もあるという。
会員は2カ月余で8000人に
同社は書店協業会社Net21に参加しており、吉見光太郎社長はNet21の副社長も努めている。そのため、長田店でもNet21のポイントカードを導入しているが、開店から2カ月余でカード会員は8000人を超えたという。開店時にポイントキャンペーンを展開したこともあったが、既に導入している既存店の会員数を超える勢いだ。
現在のところ、購入客の会員比率は40%程度なので、「今後、どうやって会員にアピールしていくのかが課題」(常木店長)というが、同社では今後、会員向けメール配信などを強化する予定で、同店が獲得した会員網が力を発揮していく可能性は高い。
PiT SPOT でコミック予約を
「PiT SPOT」は入り口入ってすぐ右側に設置。近刊予約とCD・DVDの注文ができることを知らせる幟を立てている。近刊情報は、日本出版インフラセンター(JPO)が運用を開始した「近刊情報センター」に出版社が登録している刊行予定情報を利用している。
来店客はタッチパネル式の画面で、タイトルや発売時期、ジャンルなどから近刊を検索し、注文する場合は端末に会員カードのバーコードをかざすことで注文用紙が出力される。この用紙をレジで渡すことで予約できる流れ。
まだ、注文数自体はそれほど多くないが、これまではコミックスの予約が多いという。また、「PiT SPOT」で予約するとポイントを提供しているため、それを目安に端末で検索している顧客もみられるという。
配本との連動など課題解決するば武器に
実際に導入してみて課題と感じていることは、「発売日の直前まで予約が可能なので、配本に反映されない恐れがある点が不安です。やはり予約が配本に結びつく形を早期に実現していただきたいですね」と同店・秋山恵介氏は話す。
また、同店ではCD・DVDを取り扱っていないため、端末で注文がきたとしても、なかなか顧客には伝わりにくい。ディスプレイなどでもっとアピールすることや、やはり即時配送など物流との連動が必要だとみる。
そうした環境が整えば、「会員向けにメールなどで近刊情報を提供し、予約を呼びかけられるようにできれば、オンライン書店に負けないサービスも可能になると思います」と常木店長も考えている。