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お知らせ

「出版社・書店のシステム導入事例集 加速する出版流通システム Vol.10」発行にあたって

はじめに

本小冊子には、文化通信社が発行する『B.B.B. (現BookLink)』及び『TheBunkaNews』に2022年9月以降に掲載した光和コンピューターの出版社システムと書店システムなどの導入事例を掲載しています。この連載が始まったのは2003年、以来20年にわたって出版社、書店のシステム利用について掲載してきたことになります。
連載を開始した時期と今日を比べると、出版業界の状況は大きく変化しました。デジタル化の進展によってメディアは多様化し、出版においても雑誌市場が急速に縮小する一方で、デジタルコミックが大きく伸長し、今や出版市場をけん引するコンテンツに成長しています。
その結果、出版科学研究所の調査による産業規模は、紙の書籍・雑誌販売金額が当時の2兆2278万円から1兆1292億円へと縮小したのに対して、当時は集計すらされていなかった電子出版市場が5013億円へと拡大しています。
特に電子コミックは4479億円と全出版販売額の27 %を超えるまでになっています。コミックを発行する大手総合出版社では、紙の書籍・雑誌が減少しても増収・増益を計上するなど、出版社の収益構造も変わってきており、今後、この変化がさらに進んでいくことは間違いありません。
出版物を電子化する流れは、全世界で進行しています。なかでもアメリ力やドイツにおける書籍業界では、プリント・オンデマンド(POD)の存在感が高まっています。両国の大手書籍流通会社はそれぞれPODで大きなシェアをもち、このうちドイツのリブリ社は2021年に書籍流通センターに POD設備を併設して「Libri PLUREOS」を始動。これまで実在庫100万タイトルだった書店への即日配送銘柄を500万タイトルに拡大する計画だといいます。
日本においても、電子出版やPODなどデジタル技術の活用は出版社にとって無視できない領域になっています。本書で取り上げている出版社の基幹システムでも、電子書籍販売管理や印税管理を組み込むなど、こうした流れを反映しています。
ここ26年にわたる出版市場の縮小にはデジタル化の流れが影響しています。このような環境変化は「グーテンベルク以来の革命」と表される通り、文字メディアにとって、根本的なものであり、後戻りできない流れです。
出版産業、そして個々の出版社や取次、書店などの企業も、この環境変化のただ中にいます。人間は自ら環境を変えることはできません。これまでの長い人類の歴史は、環境の変化に対応し、たえず自己を変革してきた歴史だといえます。そして、出版システムとは、まさに出版産業の各企業が、環境変化に対応して自己変革を行うためのツールなのです。本冊子をそうした取り組みの一助としてご活用いただきたいと思います。

文化通信社 星野 渉

 


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ソリューション営業部 (担当:石橋、小堀)
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あとがき

2023年は世界の危機的状況が一層進行しつつあるように見えます。ウクライナ情勢は依然として出口が見えず、中東からはパレスチナ・イスラエル間の悲惨な映像が流れてきます。また、極東においても台中問題がきな臭さを増しているようです。
一方で地球環境の危うさは深刻な姿として立ち現れています。「気象変動」はその深刻さから「気象危機」とまで言われるようになりました。2023年は各地で熱波による森林火災が多発し、大洪水や巨大ハリケーンなど大きな被害を出しています。自分たちでつくりだした環境文化によって人類のみならず地球全体の生態系が大きく崩れています。一体人類はどこに向かおうとしているのでしようか?
こんな現在だからこそ、私たちは立ち止まって歴史に学び、様々な文化と思索に触れながら、待ったなしの事態からの方向を模索していかなくてはなりません。そして、こうした営みを支えるためにこそ、出版の役割は大きいと改めて痛感せざるを得ません。
さて、出版業界もまた激動の時代を迎えています。とりわけ紙媒体の販売に主に依存してきた書店と取次の経営再建への努力はより根源的(ラディカル)な形で進んでいます。その歩みは出版社・取次・書店の三位一体の業界構造を根底から覆していく内容も孕んでいます。言うまでもなく、取次・書店の厳しい経営環境は出版社の経営をも直撃します。総じて従来の出版業界が新たに生まれ変わるための建設的な破壊の過程とさえ思えてきます。
弊社はこの間、システム構築とソリューション提案でその価値を提供して参りました。出版業界の新たな歩みに積極的にコミットしつつ歩んでいくために、不断に学び続ける姿勢を強めて参りたいと思っています。弊社ではこの間、新規事業の創造に向けた事業企画室の立ち上げや若い技術者を中心とした事業戦略委員会活動を通じて、メタバース・ロボテックス・Al・統合 DB等の研究や実験に取り組んで来ました。まだまだ萌芽的な歩みですが、必ずや出版業界の皆さんにそのソリューションをご案内できる日が来ると思います。とりわけ、Alの進化によるシンギュラリティの到来に備え、道具としてのテクノロジー活用を提案して参りたいと考えております。技術の革命的な進化に対して社会はどの様に自らを作り変えていくのか、それが問われる時が到来しています。
業界の皆様のおカ添えで9月1日に第34期を迎えた弊社の合言葉は”成長の第二ステージに果敢に進もう”です。そのためには一人ひとりが互いに多くの学びと気付きを経て成長していかねばならないと考えています。「人と組織の活性化」の源は”個人個人の意欲と自発的な行動から導き出される目標の結集”だからです。弊社もまた組織づくりの改変を伴う根源的な成長に向かう歩みを進めます。
当社の成長は出版業界の皆様からの不断なご指導に依ってのみ叶う道だと認識しております。引き続きのおカ添えの程、宜しくお願い申し上げます。

〈Mission〉
わたしたちはITを通じてお客様に新しい価値を提供し、お客様の成長を支え、文化の発展に貢献します。
〈Vision〉
出版業界で最も信頼される、ITプロフェショナル集団へ!

(2023年11月1日記)
株式会社光和コンピューター
代表取締役 寺川 光男

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