1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. 出版システム
  5. 株式会社トゥーヴァージンズ「IT導入補助金」活用しシステム導入 直販・電子印税など管理を効率化

事例紹介

Case

出版システム

株式会社トゥーヴァージンズ
「IT導入補助金」活用しシステム導入 直販・電子印税など管理を効率化

記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版システム
株式会社トゥーヴァージンズ
(文化通信 2024/4/23 掲載)

 

後藤氏

最近の売れ筋書籍とロングセラー「味なたてもの探訪」シリーズの最新刊

株式会社トゥーヴァージンズ

設 立 2015年4月
資本金 2000万円
代表者 住友千之
所在地 〒102-0073 東京都千代田区九段北4-1-3 日本ビルディング九段別館7 階
電 話 03-5212-7442

書籍、雑誌を発行する株式会社トゥーヴァージンズは2022年に光和コンピューターの基幹システム「出版 ERP」をIT導入補助金も利用して導入した。システム化によって、小規模な個人書店や書店以外への直接販売や電子書籍の印税管理などの作業を効率化できたという。

多様なジャンルで書籍・雑誌刊行

同社は書店向けセールスプロモーションを手掛ける株式会社ブリッジなどで構成するトゥーヴァージンズグループで、出版事業を担う会社として2015年に設立。2020年にライブ・イベント、音楽出版、映像コンテンツ制作などの株式会社スペースシャワーネットワークの出版事業、2021年にはLIXIL出版の事業を譲受した。
スペースシャワーネットワークの発行で同社が発売元となっているサブカルチャー季刊誌『EYESCREAM』と音楽隔月刊誌『blues & soul records』の雑誌2誌と書籍、コミックスなどを合わせて年間50タイトルほど刊行する。
扱うジャンルは多様で、最近の売れ行き良好書としては、2021年に展覧会の図録を復刻した『ジブリの立体建造物展 図録〈復刻版〉』が12刷9万部、同年に安藤サクラさん翻訳で刊行したイギリスの絵本『ライオンのこころ』が10刷3万部、寺山修司没後40年を記念して23年に横尾忠則氏の初版デザインで刊行した『書を捨てよ、町へ出よう』などがある。
建物を紹介するシリーズ「味なたてもの探訪」は、4月19日発売の最新刊『離島建築 島の文化を伝える建物と暮らし』で9タイトルとなるロングセラーだ。また、ブリッジが持つ書店へのネットワークなどを生かした企業出版も手掛けている。
販路は取次・書店ルートが6割ほどを占めるが、そのほかに近年増えている取次口座を持たない個人書店やレコード店、ギャラリー、Amazon(e託販売)、富士山マガジンサービスなど直販先が200軒ほどある。

事業譲受のタイトル増でシステムを導入

システムの導入は2022年。それまでExcelやAccessを使って管理してきたが、スペースシャワーネットワークとLIXIL出版の事業を譲受したことで、200タイトルほどだった累積刊行点数が品切れも含めて1500タイトルほどに急増。過去商品の返品処理が発生したことなどから、「Excelを使った手作業での管理が限界になりました」と取締役/Project Manager・後藤佑介氏は説明する。
システム会社数社の比較から、「システムがシンプルで、かつ中小出版社も多く利用していて知見が豊富だったことと、担当者にいろいろと相談に乗ってもらえたこと。そしてIT導入補助金の申請などをサポートしてもらえたこと」で光和コンピューターに決めた。
導入したのは販売管理(取次・直販)、原価管理、紙と電子の印税管理、損益管理。のちにマイナンバー管理システムも追加した。

損益管理で編集と情報共有

システム導入によって、直販取引先の過去履歴から取引条件を確認したり、請求書を発行することなどが容易になった。
損益管理システムでは、編集者別、タイトル別などの損益を確認できるほか、通常の書籍とは原価率が異なる企業出版や、取対経由の書店とは条件が違う直接販売先の損益も見ることができる。この機能を使って編集者と情報を共有するといった利用が多いという。
また、電子書籍の刊行点数は月1~ 2点と少ないものの、電子取次や電子書店からの売上報告に「定価」「値引き」「読み放題」「待てば無料」などの価格が混在し集計が煩雑だったため、システム化によって「売上報告を取り込めば自動計算できるので、わかりやすくなり、もれなく印税を支払えるようになりました」と後藤氏は述べる。
電子書籍印税管理には共著で複数人の著者がいる場合に印税の配分率を著者ごとに設定できる機能や、あらかじめ設定した販売数を超えた場合に印税率を変更できるスライド印税といった機能もある。