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事例紹介

Case

出版システム

株式会社地平社
創業直後に書籍・雑誌とも重版 システム導入で効率化と手作り感両立目指す

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出版システム
地平社
(文化通信 2024/6/25 掲載)

 

熊谷氏

(左)5月に刊行しすでに重版した『ガザ日記』
(右)雑誌コードを取得して創刊直後に増刷した月刊誌『地平』

株式会社地平社

設 立 2024年1月16日
資本金 980万円
代表者 熊谷伸一郎
従業員 5名(2024年1月現在)
所在地 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1丁目32番 白石ビル2階
電 話 03-6260-5480(代)

株式会社地平社は今年1月に会社を設立、4月に書籍6点を刊行、6月には月刊誌『地平』を創刊するなど創業早々、活発な出版活動を展開しているが、当初から光和コンピューターの販売管理システムを導入するなど出版を支える体制を整えている。

創業時に書籍6点と月刊誌創刊

同社を創業したのは元岩波書店で月刊誌『世界』の編集長を務めた熊谷伸一郎氏。熊谷氏はフリーランスのジャーナリストや編集者として活動したのち、2007年に岩波書店の「世界」編集部へ加わり、2018年から2022年に編集長を務めた。2023年7月に退社し地平社を創業した。
社名は「生きとし生けるものと同じ地平に立ち、[地]球と[平]和について考えながら、言葉を編んでいく」ことから名付けた。刊行分野は人文、思想、社会を中心に、月刊誌1点と書籍を年間24点刊行する計画だ。従業員は元『世界』編集部員2名と元大月書店の編集者、元TBS出身の営業担当、それに総務・経理のパート従業員の5名だ。

書籍、月刊誌とも版重ねる

4月に内田聖子『デジタル・デモクラシー』(四六判並製、本体2000円)、南彰『絶望からの新聞論』(四六判並製、本体1800円)、東海林智『ルポ 低賃金』(四六判並製、本体1800円)、長井暁『NHKは誰のものか』(四六判並製、本体2400円)、島薗進ほか『経済安保が社会を壊す』(四六判並製、本体1800円)、三宅芳夫『世界史の中の戦後思想』(四六判上製、本体2800円)の6点、そして5月にはアーティフ・アブー・サイフ著・中野真紀子訳『ガザ日記:ジェノサイドの記録』(四六判上製、本体2800円)を刊行した。
書籍の初版部数は2500~ 3000部だが、7点のうち『絶望からの新聞論』『NHKは誰のものか』『ガザ日記』の3点を各1000部、『ルポ 低賃金』を2000部重版した。6月5日に1万部で創刊した『地平』も2刷3000部、3刷5000部と版を重ねる。定期購読者もすでに800人に及んでいる。
「自主的に書店に売り込んだりSNSで発信してくださる読者が少なからずいることと、著者の皆さんもこの出版社を育てようと発信してくださるなど、応援してもらっているのが大きい」と熊谷氏は読者の広がりを説明する。
販売促進は、加盟する版元ドットコムの書店ファックスDMと主要書店への訪問営業とオーソドックスだ。流通はトーハン、日本出版販売、楽天ブックスネットワーク、そして小規模書店に強い八木書店に口座を持つほか、直接取引にも対応する。

創業時にシステムを導入

システムについては「会社の規模拡大を求めてはいませんが、出したい本は多く、月刊誌も出すので、少しでも効率化しないと持続できないと考えました」と当初から導入を検討。複数社を比較検討した結果、光和コンピューターを選んだ。
同社を選んだ理由は、「人件費などを含めて長期的に見た場合のコストパフォーマンスとサポートの良さ。そして納期が短かったことです」と説明する。
実際に今年4月に導入を決めた翌週からテンプレート版で稼働。8月の本稼働に向けて電話でサポートを受けながら作業を始めている。物流は大村紙業に委託し、システム連携で在庫管理も行っている。会計システムはクラウドサービスのfreeeを導入した。
「本作りはもちろんですが、書籍、雑誌の発送から名簿管理、Web作成、営業まですべてを全員でやっています。読者からの電話を直接取って感想を聞くなど読者との距離が近いのが楽しいです」と話す熊谷氏。システムで効率化しながら、著者や読者とのつながりを大切にする出版活動を目指している。