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出版システム

株式会社アリス館
編集と営業結ぶ部署を新設 書店支援のため情報提供に注力

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出版システム
株式会社アリス館
(文化通信B.B.B. 2022/11/1 掲載)

 

(左)『クリスマスシーズンに向けて作成した販売台』
(右)『書店が必要とする情報を盛り込んで郵送している販促チラシ』

おおでゆかこさんの新刊『いろいろのりもののりたいな』を手にする槇野取締役

株式会社アリス館

代表者 田辺直正
創業 1981年8月14日
所在地 〒112-0002 東京都文京区小石川5-5-5
電話 03-5976-7011 (営業)
従業員 10人

絵本を中心とした児童書を出版するアリス館は、クリスマスシーズンに向けて書店に商品案内を始めているが、昨年新設した販売企画部で作成したチラシ類が好評だ。書店環境の変化に合わせた販促に取り組むとともに、新たな倉庫会社と取引を始めるなど流通体制の整備にも取り組んでいる。

『はみがきれっしゃ』30万部に

同社は田辺直正代表取締役社長を含めると10 人。年間40点ほどの新刊を刊行し、稼働点数は未就学児向け絵本を中心に約750点。
2015年に初版4000部で刊行した『はみがきれっしゃ』(くぼまちこ著)が毎年版を重ねて累計30万部に達しているのを始め、1997年刊行で累計22万部に達する『でんしゃにのって』(とよたかずひこ著)、 2016年刊行で30刷になる『とんでもない』(鈴木のりたけ著)などが書店でも定番になっている。
そんな同社が今年のクリスマスに一押しなのが、おおでゆかこ著『いろいろクリスマスツリー』( 2019年刊行)。クリスマスシーズンに向けて販売台を用意して販促を開始、すでに1万冊を受注している。
同書は刊行以来出荷に対する仕上がりが8割という売れ筋。おおでさんはその後、『いろいろおかしパーティー』( 2020年刊)、『いろいろのりもののりたいな』( 22年刊)と人気作を続ける勢いのある著者。

編集と営業繋ぐ販売企画部を新設

こうした展開を書店に呼びかけるチラシは、イラストを多用してわかりやすくデザインされ、自社出版物以外の併売商品なども紹介する。この販促物は、 2021年に立ち上げた販売企画部で制作している。
「出版社は編集と営業が分業しているので溝ができがちです。販売企画部は著者とも会い、書店店頭もお訪ねする編集と営業をつなぐ部署です」と田辺社長は説明。立ち上げに合わせて、デザインが得意な人材も採用。今後は新人採用時にはまずこの部署で経験を積んでもらう考えだ。

書店現場に向けLINE営業部立ち上げ

こうした取り組みについて田辺社長は「書店環境が大きく変わる中で、私たちが専門店など小規模なお店をサポートしていかなければなりません。そうしたお店の要望に応え、必要な情報を提供して応援していく必要があります」と述べる。
同様の思いから昨年、「LINE営業部」を開いた。顔が見える書店人とLINEでつながり、日常的に情報交換する。「LINEなら空き時間に使えます。今の書店さんの働き方から考えました。これなら遠方の書店さんともすぐにコミュニケーションできます」と槇野孝宏取締役営業部部長。こうした情報交換から、既刊書の展開なども呼び掛ける。

ブランド強化目指す

同社の基幹システムは、かつて大手システム会社の出版パッケージを利用していたが、自社倉庫から倉庫会社に物流を委託した2006年に、光和コンピューターの出版ERPシステムを導入。昨年には児童書出版社との取引が多い出版ネット&ワークスに物流業務を委託した。これにより在庫をほぼリアルタイムで確認することができるようになった。
こうした取り組みを通して、田辺社長はブランドづくりに力を入れる。昨年3月からこれまでに全国で60 回に及ぶ原画展を開くなどの取り組みも。「書店からも読者からも『ちょっと違うユニークな出版社』と感じてもらいたい」というのが願いだ。