青山ブックセンター
法人向け「ブックコンサルティングサービス」を拡大
書店システム
青山ブックセンター
(文化通信 2025/8/26 掲載)
選書・納品を担当したオリックス銀行のラウンジ(東京・港区)
佐野氏
青山ブックセンター外商
所在地 | 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア (B2F) |
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電 話 | 03-5485-5518 |
青山ブックセンター(ABC)は、企業などが設置する書棚の選書から納品までを提案する「ブックコンサルティングサービス」を提供するが、取引先は400件程度に拡大、経営を支えるビジネスに成長している。売上・売掛管理などの外商システムは店舗のPOSシステムと同じ光和コンピューターのシステムを利用している。
ABCは1980年に広告会社の株式会社ボードが六本木に初の店舗を出店。デザイン関係に強く、当時は珍しかった深夜まで営業する書店として知られた。その後、2004年にボードの経営破綻で株式会社洋販に譲渡され、2010年には洋販の破綻によって現在のブックオフグループに入った。
店舗・外商・イベントなど展開
現在、店舗は青山の本店のみで営業。店舗のほか、外商、オンラインショップ、イベントといった事業を展開する。
青山本店がオープンした1997年から同店で勤務し、店長も務めたブックオフコーポレーション事業開発部青山ブックセンター新刊グループ統括エリアマネージャーの佐野正樹氏は、同店の経営状況について「店舗単体では厳しいですが、事業を組み合わせることで生き残っています。これが今の書店の戦い方の一つだと思います」と説明する。
店舗は本を中心に販売し、独特の品揃えで知られるが、「我々が一方的にセレクトしているのではなく、近隣エリアの人々が求める商品を揃えることを徹底しています」と佐野氏。これは創業当初から変わらない方針だ。
一方、オンラインショップは総合オンライン書店と差別化するためセレクトショップにしている。
イベントは店内のセミナールームで定期的な教室や、著者のトークショー、サイン会、セミナーなどをほぼ毎日開催する。
オフィス・マンションなどに選書・納品サービス
外商は同店がある表参道周辺から赤坂見附までの青山通り沿いの企業などを対象にした雑誌配達と、「ブックコンサルティングサービス」を展開している。
かつて近隣の青山一丁目にあった同グループの流水書房が手掛けた雑誌配達業務を引き継いでスタートした。このエリアは大企業とともに広告代理店、制作会社、アパレル、デザイン会社などが多く、いまも専門雑誌などの需要がある。そうした企業から、図書室やラウンジを作るための選書や納品の問い合わせが増えたことが「ブックコンサルティングサービス」につながった。
「一時、ペーパーレス化志向で紙離れが進みましたが、その後、働き方改革などでオフィスにラウンジや資料室を作る企業が増えました。特に勢いのあるベンチャー企業が社員のリフレッシュルームを作って、飲食と合わせて本棚を設けるため選書などの相談が増えています」と佐野氏は変化を説明する。
また、東日本大震災以降、分譲マンションで近所づきあいを目的にした共有スペースの開設が増え、ここでも本棚を置くことが多いという。
こうした流れを受けて、ホームページで法人向けサービスとして「ブックコンサルティングサービス」を打ち出した。雑誌配達先からの問い合わせや、Web 問い合わせフォーム向けにメールを出すなどの営業活動で、毎月、複数の問い合わせがあるという。これまでにオフィスやホテル、学校、マンションなどへの導入実績がある。
いまは社員3人、アルバイト4人の体制で外商に取り組んでいる。企業などから引き合いがあると、選書やディスプレイなどの打合せから、本の納品、設置までを手掛け、要望があれば追加商品の供給も行う。選書には店舗のジャンル担当も参加。
「当社はリアル店舗の売上データと書店員による選書を売りにしています。また、導入時の冊数や金額に下限を設けず、その後の追加納品にも積極的に対応するなど、小規模な案件にも対応できる点も特徴です」という。
店舗・外商とも光和システムを導入
システムは、早くから店舗で光和コンピューターのPOSシステムを利用してきたが、外商についても同社のシステムを採用している。
佐野氏によると「雑誌配達の納品先は500件ほどあり、部署などを入れればさらに顧客数は多くなります」という規模で、アナログでは売上・売掛を管理できずシステムを導入。5年ほど前には大掛かりな改修を実施。
また、電子請求書などに対応するため、光和コンピューターとは次の改修に向けた相談も始めている。
一方、店舗では昨年、セルフレジを導入した。3台だったレジをセルフ2台、有人1台体制にしたところ、「レジ担当のシフトが月210時間削減できました。その分、人を減らすのではなく、選書やイベント企画などほかの業務に転換できました」と佐野氏は効果について話す。
これからも、外商、店舗ともにシステムの力を使って、同社ならではの特徴を発揮して多様な事業を展開していく考えだ。