晃洋書房
システム導入で業務の見直しも
オフコン時代の遺産を引き継ぎ新機能も付加
出版ERPシステム《ERP販売管理》
株式会社 晃洋書房 様 (文化通信bBB 2009/9/21 掲載)
株式会社晃洋書房
代表取締役 | 上田芳樹 |
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所在地 | 京都市右京区院北矢掛町7番地 |
電 話 | 075-312-0788 |
業務分野 | 学術専門書出版 哲学・心理学・宗教・歴史・地理、社会科学、自然科学、工学・工業、芸術、語学、文学、その他 |
晃洋書房(京都府)は、大学教科書を中心に人文・社会科学の学術専門書を年間約100点刊行している。売り上げの柱である大学教科書は、採用校、採用教員のデータなど、通常の出版社とは違った管理が必要になるが、07年の11月に光和コンピューターのクライアントサーバーシステムを導入した。
採用校などのデータを蓄積
同社は1960年に京都で創業し、来年10月に50周年を迎える。教科書は全国ほとんどの主要大学で採用実績があるほか、大型書店を中心に全国100店を常備店にしている。
「売り上げの柱である大学教科書は、採用校や採用して頂いている先生のデータを蓄積しています。また、同じ採用している先生でも自著の場合は著者、そうでない場合は採用者というふうに分けています」と、営業部・高砂年樹部長は同社のデータ管理の特徴を説明する。
1998年にオフコンを導入してこうしたデータ管理を行ってきたが、「集計などの処理時間がかかり、操作も煩雑」などの問題があったと、システム導入を直接担当した同社・川東靖弘氏は話す。
その上、過去データを蓄積していたメディアの再生機器が製造中止となり、今後のデータ保存に不安が出てきたことを期に、パソコンシステムへの移行を決めた。
誰でも容易に操作できるシステムに
光和コンピューターを選定した理由は、蓄積したデータを継承し、出力の仕方などオフコン時代の遺産を引き継ぐことができることと、さらに書店受注データの分析など新機能も付加できることが決め手になった。
同社では営業部員はもちろんのこと、編集部員も日常的に大学の研究室をまわり、著者や今後の著者候補となる教員とのコミュニケーションを図っている。
そのために、訪問する教員が現在執筆をお願いしているのか、過去に著作をだしたことがあるのか、同社の書籍を教科書に採用しているかといった情報を日常的に出力する必要がある。「オフコン時代はそのたびに営業部にデータ出力の依頼があり、手が回らなくなっていた」ことから、全社員がパソコンでデータを操作できるように「誰でも容易に操作できるシステム」(高砂部長)の導入を考えていた。
また、商品管理は本社の北隣の倉庫、本社から少し離れた場所と、遠方の倉庫の3ヶ所で自社管理しているため、在庫管理も行う必要があった。
さらに、営業部門としても「請求書類の出力時間を短縮化したかったことに加え、書店からの注文履歴を管理したいという希望もありました」(川東氏)という。
問題の可視化も実現
新システムは、47期の期首に合わせて07年11月に稼動した。ただ、導入決定から稼動までが3ヶ月と短く、通常は8回程度は行う光和側との打合せが4回しかできなかったことや、想定以上のカスタマイズが必要だったことなどで、完全稼動まで2年近くを要したという。
「東京と京都という地理的な問題もありましたが、打合せに社員全員が参加できなかったりして、罫線を1本入れる入れないで、『これぐらいはできるだろう』『システム的に難しい』といった具合に意志の疎通が図りにくいこともありました」と高砂部長は振り返る。
特に、同社では毎年、著者に対して取次経由と直接販売を合わせた売上と、期末在庫の明細を「販売状況報告書」として提出しているが、通常の出版システムでは取次経由と直接販売が分かれているといった問題があったという。
一時は「本当にこちらの希望通り稼動するだろうか」(高砂部長)と感じることもあったというが、2年目には開発が完了し、サポートに移行した。
「やはり実際に自分たちで使ってみることが大切。これからもよりよい方向に持って行けるようにしていきたい。今は以前よりサポートもよく対応してもらっていて、意志の疎通も図れつつある」(高砂部長)という。
また、川東氏は「本稼動までに時間がかかった理由には、オフコン時代にはみえなかった問題が可視化されたということもあったと思います。そういう意味では、システム導入によって業務の見直しもできつつあると思っています」とみている。