創立35周年記念『出版社・書店のシステム導入と業務改革事例集2021年~2025年』発行
『出版社・書店のシステム導入と業務改革事例集2021年~2025年』を刊行しました。

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03-3865-1981
はじめに
光和コンピューターは創業 35 周年を迎えました。
この間、出版業界の皆さまに育てていただき、数えきれない学びと経験を重ねてまいりました。心より感謝申し上げます。
この 35 年間、私たちは出版業界の発展とともに歩み、変化の波の中で成長を重ねてきました。出版流通の構造変化、デジタル化、そしてコロナ禍という社会変動を経て、出版を取り巻く環境は大きく姿を変えました。業界は今、次の時代を見据えた変革の途上にあります。
2024 年の出版市場は、紙と電子を合わせて 3 年連続の前年割れとなり、紙の出版物はついに 1 兆円をわずかに上回る規模となりました。一方で、電子出版は 5 年で倍増し、電子コミックやライトノベルが市場を牽引しています。
版元各社は、海外展開や IP ビジネスなど新たな収益領域に挑戦し、取次や流通構造の再編も進んでいます。書店数は減少を続けていますが「行きたくなる書店」を掲げた地域密着型の再生や、カフェ・雑貨を融合させた複合型書店など、創意あふれる試みが全国で始まっています。こうした挑戦は、地域文化の灯を絶やさぬための新たな努力であり、出版の未来を照らす光でもあります。
こうした産業構造の転換期において、当社は出版業界のデジタルトランスフォーメーションを支える企業として、新しい価値の創造に挑んでまいりました。版元向けシステムの「出版 ERP クラウド」「PUBNAVI」「EC サイト」や書店向けシステムの「K-POS」「BookAnswer」「在庫検索システム」、そして BPO 提案にも力を注いで来ました。メタバースやロボテックス技術にも着手しています。AI やデータ活用についても、マーケティング分析に基づく販売支援、在庫最適化、読者行動分析など、今後の発展可能性を見据えて研究開発を進めています。経営課題に寄り添うソリューション提案に注力したく思います。
同時に、組織の成長なくして技術革新は実現しません。
人材育成と組織改革を両輪として進化を続けています。現在、当社の社員の平均年齢は 38.9 歳、20 〜 30 代が過半を占め、女性比率も 4 割を超えるまでになりました。多様な人材がリーダー・マネージャーとして活躍し、柔軟でしなやかな組織づくりを進めています。若い力と経験が融合することで、変化に強く、挑戦を続ける企業体質を育みたく思っています。「人的資本経営」とは、人の可能性への投資が組織を成長させるという考え方です。その基盤にあるのは、信頼と対話、つまりコミュニケーションです。私たちは「組織はコミュニケーションでできている」という原点を忘れず、世代と立場を超えた協働を通じて、常に自らをアップデートし続けます。
出版文化は、人々の知と感性を支える社会の基盤です。情報があふれ、社会の分断が進む今だからこそ、知をつなぎ、文化を育む使命がより重みを増しています。出版を支えるすべての方々と共に、新しい時代の知の在り方を創造していくことが私たちの願いです。
これからも光和コンピューターは、出版業界の未来を共に創るパートナーとして、変化を恐れず挑戦を続けてまいります。
皆さまのご指導に深く感謝申し上げるとともに、次の 40 周年に向けて、新たな一歩を踏み出します。
引き続きお力添えの程、宜しくお願い申し上げます。
2025年11月
株式会社光和コンピューター
代表取締役 寺川光男
目次
解説
本書に収録した事例は 2020 年から 2025 年までの間に文化通信社が発行する『B.B.B』『TheBunkaNews』、『Booklink』の各媒体に連載「加速する出版流通システム」や特集として掲載した記事と、光和コンピューターが開催したセミナーの載録などである。
光和コンピューターのシステム導入事例を紹介する連載「加速する出版流通システム」が始まったのは 2003 年 12 月。以来 22 年間にわたり、ジャンルや業態など多種多様な出版社のシステム導入と、書店の店舗システムなど 200 を超える事例を取材してきた。
その記録は、光和コンピューターの創業 20 周年を記念して刊行した『出版社、書店のシステム導入と業務改革事例集 2003 〜 2011』、そして 30周年を記念して刊行した『出版社、書店のシステム導入と業務改革事例集2011 〜 2020』に収録。今回、同社 35 周年記念で刊行する本書で 3 冊目となる。
この間、出版業界の市場規模は 2 兆 2000 億円から 1 兆円ほどに縮小し、書店数は 1 万 9000 店から 1 万店を下回るまでに減少。総合取次のうち大阪屋、栗田出版販売、太洋社の社名は消えるなど、出版流通の様相は大きく変わった。一方で、電子出版市場は出版市場全体の 36%を占めるまでに拡大。雑誌市場の規模を超え、書籍市場に並ぼうとしている。
こうした変化に対応し、出版社では電子書籍の売上・印税管理「PUBNAVI」の導入が加速し、書店では生産性を上げるためセルフレジや無人営業ソリューションの導入が進んでいる。
本書に収録した事例の数々は、個別企業によるシステム導入の記録であるとともに、出版業界の変化の歴史を示すものでもある。そして、現在、業界の変化はいよいよ出版流通の根幹にまで及ぼうとしている。これからの変化を見据え、対応を考えるために、本書をお役立ていただければ幸いである。
株式会社文化通信社
取締役社長 星野渉
光和コンピューター




